【既報関連】ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)は23日、2020年度連邦予算基本法(LDO)の採決と、職権乱用防止法案に対してボルソナロ大統領が行った拒否を無効化するかについての審議の二つを目的とした両院議員総会を24日に開くと述べた。23、24日付現地各紙・サイトが報じた。
24日付現地紙は、「連警が上院政府リーダーのベゼーラ・コエーリョ上議(民主運動・MDB)を標的とし、議会内も含めた家宅捜索を行ったことに議員たちは不快感を持っており、“職権乱用防止法案の拒否の拒否”について議論すべく、大統領不在時に審議を前倒しした」の表現で、政府と議会の溝の存在を表現した。
今週は、社会保障制度改革法案(PEC)の採決や、次期連邦検察庁特捜局(PGR)長官指名問題などで、上院の予定は埋まっていた。だが、来週の予定だった両院総会の方が前倒しされ、社会保障制度改革PECの第1回採決は来週に延期された。
議会が承認した職権乱用防止法は、捜査、司法当局の力を弱め、汚職をしやすくする内容だ。ボルソナロ大統領はその一部を拒否した。しかし、大統領の拒否を議会が再度無効化したら、政府にとって、また、ラヴァ・ジャット(LJ)作戦担当判事だったセルジオ・モロ法相にとって、大きな敗北となる。
19日のベゼーラ上議に対する家宅捜索からわずか5日後、社会保障制度改革採決を後回しにしてまで、職権乱用法の問題が審議に入った。
ボルソナロ大統領は議会が突きつけた法案の全45条中、19条(36項目)を拒否した。リカルド・バロス下議(進歩党・PP)は、「大統領の行った拒否の全てを無効化するかどうかは分からない。しかし、かなりの拒否が無効化される」と語った。
採決は上院から行われる。上院議員81人中、33人はLJ作戦捜査対象者で、全員が大統領拒否を全て無効化することに賛成だから、さらに8票で、上院を通過してしまう。下院で“拒否の拒否”が成立するには、定数512の過半数、257票が必要だ。
ただ、政府に対する敵対心が高まっているとはいえ、全ての議員が“拒否の拒否”に賛成しているわけではない。オリオヴィスト・ギマランエス上議(ポデモス)は、「上院の政府リーダーが家宅捜索の対象になったからといって、露骨に反撃するのはいかがなものか。ベゼーラ・コエーリョ上議も自分のことと、法案の中身の議論を分ける分別はもっているはずだ」と語った。
なお、24日午後5時の時点では、来年度の連邦予算基本法も、職権乱用防止法の“拒否の拒否”の件も、採決は終了していない。