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スキヤキ・ド・ベン=慈善晩餐会で美食、陶芸に堪能=一晩で20万レを施設に寄付

関係者らで記念撮影

 陶芸家の本間ヒデコ氏(64、二世)が企画・監修を務めるチャリティー晩さん会「第13回スキヤキ・ド・ベン」が13日夜、サンパウロ市の五つ星ホテル「チヴォリ・モファレジュ」で開催された。約350人が参加し、本間氏のこだわりの器にもった、有名シェフらの極上のコース料理を楽しんだ。
 来場者の参加費や、会場での絵画作品オークションで支払われた計20万レアル以上が、高齢者福祉施設「憩の園」と、精神障がい児支援を行う「トラベジア財団」に寄付された。

主催した本間さん

 豪華コース料理は、テレビ番組や雑誌でもとり上げられている有名シェフらが担当。アンドレ・サブロー、レオ・ヤング、ロドリゴ・マルチンス、ヴィコ・タンゴダ、ウィリアム・リベイロ、セーザル・ユキオ、ソムリエのヤスミン・ヨナシロ、カロリ―ナ・オダ8氏が自慢の腕を披露した豪華共演の料理となった。
 テーブルに皿が運ばれるたびに、参加者らは料理を口にし、その妙味にため息やうなり声を漏らした。

 晩さん会ではステージでショーも行われ、中平マリコさんが郷土民謡や歌謡曲を響かせ、エミリー・スガイさんは暗黒舞踏を見せた。マジシャンのイサオ・イマムラさんはカードやロープを使った奇術を披露して会場を大いに盛り上げ、参加者を楽しませた。
 福島近氏ら日系画家の絵画作品のオークションも実施。買い手が決まるたびに、会場から称賛の拍手が送られた。
 本間氏からリベルダーデ区や日系社会の活性化に尽力した功労者として、リベルダーデ文化福祉協会の池崎博文会長に表彰状が手渡された。

 晩さん会の前には、本間氏の生徒や趣旨に賛同した芸術家が陶芸作品を並べ、参加者は気に入ったものを一つ選び、さらに本間さんの作品も一つ受け取り、土産として持ち帰った。
 本間氏はイベントを行う理由を「陶芸を通して他人のために何かしたいと思った。器は料理が載ることで意味を持つ。だから陶芸と料理を合わせたイベントにした」と語った。
 憩の園を運営する社会福祉法人救済会の佐藤直会長は「今まで頑張ってきたお年寄りを思う気持ちで、みんなが集まってくれた。本当に嬉しい」と感謝の言葉を述べた。
 普段から本間氏の広報活動をサポートし、このイベントでも運営に携わったDO CULUTURAL社の高橋ジョーさん(66、二世)によれば「一流陶芸家の本間氏だからこそ、シェフもボランティアで協力してくれた」とのこと。
 毎回参加しているという吉岡初代さん(79、二世)は「他人のためにこんな大きな催しを開くのは大変な苦労のはず。私には真似できないから、参加して協力している。今回も美味しかった」と満足げだった。


□関連コラム□大耳小耳

 13日に開催された「第13回スキヤキ・ド・ベン」で、中平マリコさんが美空ひばりの名曲『川の流れのように』を披露すると、記者の隣にいた非日系の女性が「誰の歌なのか教えてほしい」と尋ねてきた。美空ひばりをアルファベットで書いて見せると、女性はすぐさまスマートフォンで検索していた。女性はポ語しか話さず、日本語は分からないようだが、名曲の良さは言葉も年代も越えて伝わるようだ。
     ◎
 「第13回スキヤキ・ド・ベン」でイベント運営に携わった高橋ジョーさんによると、本間ヒデコ氏は一流レストランに器を提供しているが、「器と料理の組み合わせ」に強いこだわりを持っており、時には先に料理を見てから器をそれに合わせて作ることもあるとか。プロのこだわりは計り知れないものだ。