連邦検察庁パラナ州支部のラヴァ・ジャット作戦(LJ)班が、現在服役中のルーラ元大統領にセミ・アベルト(昼間外出)の適用を求める請求を裁判所に出していたことがわかった。これは最高裁でLJに関する判決が覆される可能性が高まったことに対抗するためのLJ班の戦略ととられ、ルーラ氏の弁護人や労働者党(PT)からの強い反発を招いている。9月28日付現地紙などが報じている。
ルーラ氏は昨年の4月7日から、サンパウロ州グアルジャーの高級住宅を介した収賄容疑などで8年10カ月の実刑に服しているところだ。
今回、デウタン・ダラグノルLJ主任や10数人のLJ検察官が連名で署名した請求書は、ルーラ氏の服役が約1年半になろうとしている段階でパラナ州刑法地裁のカロリナ・レボス判事に対して提出された。請求の根拠には「既に刑期の6分の1の服役を終えている」「服役中の態度がよい」ことなどがあげられている。
本来のセミ・アベルトなら、農業地帯か工業地帯にある刑務所に移り、昼間は働くことが原則だが、現時点では、ルーラ氏を収容するのに適した刑務所がないため、請求が認められれば、現在収容されているパラナ州連邦警察から出て、サンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポで電子足環をはめた生活(一段階緩い自宅軟禁に相当する形式)を過ごすこととなる。
だが、この請求はルーラ氏の弁護士らからも疑問視されている。それはルーラ氏が、実刑判決の際に科された410万レアルの罰金を払っていないためだ。レポス判事も9月23日に、ルーラ氏にこの罰金の支払を命じたばかりだ。
今回、LJ班がこのような請求を出したのは、6月にはじまったヴァザ・ジャット報道後、当時LJ判事だったセルジオ・モロ法相や主任のデウタン氏の裁判や捜査の進め方に違法性や判断の偏りが指摘されたことなどもあり、最高裁でLJ裁判が適切だったかの審理がはじまったためだ。25、26日の大法廷審理では、「報奨付供述に基づく裁判の運び方に問題がある(判決の一部が変わりうる)」との判断が優勢を占めている。
また、2審後の刑執行に関しても、近いうちに審理が行われるとの見方が強まっている。
これらの要因により、アチバイアの別荘をめぐる裁判の結果も覆る可能性が出ている。LJ班としては、最高裁でルーラ氏の判決が覆る前に減刑を請求することで、ルーラ氏解放を求める動きや最高裁の審理を抑え込もうとしたのではと見る向きがある。
ルーラ氏の弁護側は26日、「ルーラ氏は無実であり、全面的な自由を得る権利がある」として請求を批判した。PTのグレイシ・ホフマン党首やジウマ元大統領も同様の見解を表明し、ルーラ氏の釈放を訴えている。