サンパウロ市のサンタクルス病院(石川レナト理事長)は、職員を対象とした日本語講座2期生の卒業式を、9月25日に別館講堂で行った。今年2月下旬から週2回、半年間受講した病棟職員や事務員、栄養士ら2期生17人が卒業。出席した14人が卒業証書を受け取った。
この講座は「おもてなし」をテーマに、日本語だけでなく、日本の文化や日本式の応対方法も身につけてもらうため、同病院が昨年8月から開始した。講師は『ブラジルかわいい大使』でもある松田明美さんが務める。
卒業式ではまずレオネル・フェルナンデス病院長が卒業生に祝辞を述べ、続いて卒業生が1人ずつ名前、所属課や職種などの自己紹介を日本語で行い、半年間の勉強の成果を発揮した。
式には次期受講生も参加し、彼等への「小さなおもてなし」として折り鶴ワークショップの時間が設けられた。同病院のシンボル色でもあり、平和や健康の象徴でもある緑色と白色の折り紙を使って、卒業生が次期生に心を込めて折り鶴を教えた。
最後にフェルナンデス病院長より卒業生1人1人に卒業証書が手渡され、卒業生全員で『蛍の光』を日本語で合唱した。
卒業生の1人、栄養士で13年同病院に勤めるフラビア・ヴィトリアさん(38)は、「日本語を勉強するのは大変だったけど、とても楽しかった。患者の中にはポ語があまり話せない方もいるので、実践で使っていきたい」と語っていた。
講師の松田明美さんは「生徒たちが巣立っていくのは淋しいけれど、頑張って欲しい。次期生は早朝より働く衛生課や警護課の方など幅広い層。皆さんが私のお手本であり、私も皆さんのお手本となるよう務め、日本語だけでなく日本の文化を伝えたい」と3期生への指導に向け、熱い想いを語っていた。
同僚の卒業祝いにかけつけた1期生で看護師のロシレーニ・ファリアス・カリショットさん(サンパウロ市、47)は、「日本語を話せるようになって変わった」と言う。「大丈夫ですか?」「どこが痛いですか?」などと日本語で対応すると、相手も信頼して病状を話し、医者への橋渡しも上手くいくようになり、「勉強して本当に良かった」と語っていた。
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サンタクルス病院の日本語講座2期生卒業式では、卒業証書を受け取る作法も松田さんが事前に指導。本番では皆が教えられた通りに受け取った。また、部屋を出る時やその場を離れる際も「失礼します」と声をかけるなど、勉強の成果が至る所に。日本語だけではない「おもてなし」の効果を、病院職員の応対から感じられるかも。