【既報関連】燃料の値上がりに起因するデモ激化を受け、エクアドルは政府機能を首都キトから430キロ離れたグアヤキルに移転するという異例の判断を行った。8日付現地サイトが報じている。
政府機能移転の発表は7日、レニン・モレノ大統領のテレビとラジオの演説を通じて行われた。
同大統領によれば、移転の理由は、連邦政府のあるキトのカロンデレ宮殿付近が、デモ隊と軍の戦闘の場所となってしまったためだという。
同宮殿が危機的状況に陥ったことにより、職員や政府の番記者はすべて退散を命じられている。また、議会も議事堂がデモ隊に占拠され、機能不全となっている。
今回のストは、ガソリンや軽油への補助金制度の廃止により、ガソリン価格の場合は123%のように、燃料が大幅に値上がりしたことが理由ではじまった。国民からの抗議行動の激しさに耐えかねたモレノ大統領は、3日に非常事態を宣言。抗議行動鎮圧のために、各地に軍を派兵した。
だが、それが火に油を注ぐ結果となってしまった。ロイターの発表によると、7日までに73人が負傷(内59人は警備隊員)、570人の逮捕者を記録する事態となっている。
6日には南部のアズアイ県で、35歳の男性が車にはねられて亡くなった。これは、公道を封鎖していたデモ隊からの攻撃を避けるために強行突破しようとした車の運転手によるものだったと見られている。
今回のストが長引き、激化している背景には、先住民の存在がある。エクアドル先住民連盟(CONAIE)はすでに、モレノ大統領が燃料値上げを撤回しない限り、徹底抗戦を続けると宣言。彼らは国内の主要幹線道路を封鎖している。
その影響で、7日には、米国からブラジルまで14カ国をバイクで横断しようとしているブラジル人男性2人が、コロンビアとの国境で取り囲まれ、脅される事件が発生。彼らはその場から逃げて身を隠したが、国境が閉鎖されたため、長時間待った上で、闇に乗じてエクアドルに入るという冒険も経験した。
モレノ大統領は、国際通貨基金からの資金援助を理由に、補助金制度撤回の方針を変えることを拒み続けている。
タグ:写真ニュース