国立植民農地改革院(INCRA)の総裁で陸軍大将でもあるジョアン・カルロス・ジェズス・コレイラ氏が解任されたことで、ボルソナロ大統領の派閥で構成されている土地問題特別局に対する、軍関係者や農務省からの批判が激しくなってきている。それは、コレイラ氏解任が同局局長でボルソナロ氏の友人であるナブハン・ガルシア氏の私欲による強い干渉によるものとされているためだ。8日付現地紙が報じている。
INCRAは国内の農地問題を管理する政府機関で、土地を持たない農民に国有地の再分配などを行っているが、その運営にガルシア氏の強い干渉があったようだ。
コレイラ氏と共にINCRAを解任されたマルコ・アントニオ・ドス・サントス大佐は、「必ずしも国益のために動いているとは言いがたい個人やグループがINCRAの中枢部におり、干渉していた」とし、ガルシア氏がその動きに関わっていることを公にした。
ガルシア氏は農業生産者(農地主)民主主義連合(UDR)の会長(現在休職中)で、ボルソナロ氏とは個人的な友人でもある。また、昨年の大統領選では、早くからボルソナロ氏のキャンペーンを支援していた。
テレーザ・クリスチーナ農相はガルシア氏による干渉を察知し、個人的に注意を促していたが、効果がなかった。コレイラ氏と他4人の大佐の解任は、9月30日に開かれた、ボルソナロ氏と農相、ガルシア氏の三者会談で決まった。
テレーザ氏は会談の結果をコレイラ氏に直接伝えようと考えていたが、その前に解任情報が漏れてしまった。ガルシア氏は現地紙に対し、「残念ながらINCRAの仕事に過ちがあったようだ」「政府は法定アマゾンを中心とする地域で土地所有を希望している人々への対応を速やかに進めたいと考えている」と語っている。
コレイラ氏はワッツアップで関係者への挨拶をかねて心情を語った。その中で、「INCRA監督官30人の内、複数の人物が犯罪的なたくらみに関わっている」とした上で、ロンドニア州とマット・グロッソ州の名前を挙げて、不正が行われていたと指摘。「私たちはそれに反対で、倫理観と誠実さを持って対処しようとしてきた」とし、自分たちが内部不正に対処しようとして解任されたことをほのめかした。
ドス・サントス氏も、「INCR内部にはいくつかの派閥があり、その中には犯罪的なものが存在した」「それらの派閥に対して50を超える訴訟が存在した」などとし、パラー州でも問題があったと語った。
ガルシア氏は先週も、「土地所有権の正規化のための暫定令は自己宣言という形で行われる予定で、準備はほぼ整っている」と発言し、農務省を不愉快にさせている。
テレーザ農相の側近たちは、自己宣言による土地取得などの考えに反対する人たちが報復を考えて省内外で敵対心が激化することを懸念しているという。