【既報関連】9日、社会自由党(PSL)党首のルシアノ・ビヴァール氏が「彼はもう、わが党とは関わりがない」と宣言したことで、ボルソナロ大統領とPSLの決裂が避けられないものとなりそうだ。大統領は現在、法的に問題なくPSL議員らを自分と共に移籍させる方法を模索しているという。10日付現地紙が報じている。
ボルソナロ氏とPSLの亀裂は、ボルソナロ氏が8日に大統領官邸前、それも取材陣の目前で、来年度の地方選に同党からの出馬を希望している支持者に対して、「PSLのことは忘れろ」「ビヴァールは火の車だ」と言ったことが直接的な原因となって表面化した。
ビヴァール氏は9日、「PSLを忘れろと言ったということは、ボルソナロ氏自身がもう私たちのことを忘れたということだ。彼はもう我々とは関係のない人物だ」として、決裂を宣言した。
これを受け、ボルソナロ氏は「二人の間に危機はない。夫婦喧嘩みたいなものだ」として、対立のイメージを和らげようとしたが、その一方で、「問題は自分ではない。党そのものが停滞しているのだ」と批判。「とりあえずはまだ党にいる」と、将来的な離党は否定しなかった。
PSL党内のボルソナロ派はすでに党内で、同氏が離党した場合についていく意志のある議員を調べているとされ、53人いる下院議員のうち、20人ほどがついていく意向だという。
だが、現行の法律では議員らが任期を失わずに党移籍を行う場合は限られており、現状ではそれが即座の離党を妨げる要因となっている。
ボルソナロ氏の弁護団は、その例外条項のひとつである「所属党が不正行為を行い、政党支援金が受けられなくなった場合」の適用を狙っているという。
そうでない場合、ボルソナロ氏の支持者たちにネットで嘆願運動を起こしてもらい、議員たちの移籍の正当性を世に訴えることも考えている。
ただ、仮に党移籍が出来たとしても、2022年の次期大統領選の際に最も政党支援金が回されるのは、18年の選挙で最大議席を獲得したPSLになる。大統領の弁護団は、いかにしてこれをボルソナロ氏の移籍先に持っていくかも考えているという。
現時点で有力な移籍先には、現在、高等選挙裁判所で承認手続きの最終段階にある、全国民主連合(UDN)の名前が挙がっている。この党の名前は、軍政政党だった国家革新同盟(ARENA)のほとんどの政治家が所属し、1965年に消滅した政党と同一で、「ブラジルにおける本格的右派政党を目指している」という。その他、パトリオッタも興味を示しているという。