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□記者の眼□非日系も参加可能な日系研修、締め切り25日

 奈良県人会の青年部長、沖縄県人会カンポ・グランデ支部の芸能部長など、最近は日系団体における非日系台頭が目立ってきている。彼らと話していて不満が漏れるのは、県費留学生・研修制度の大半には「県人子弟」という縛りがかかっていることだ。
 県人会活動は基本的に無報酬であり、何の金銭的なメリットもない。だから県人子弟ですら活動に参加する者が少ない。一番メリットを享受したはずの県費留学生ですら、帰ってから会活動に参加するものが少ないのが現状だ。
 その中で、非日系にも関わらず、県人会の一翼を担う存在にまでなってくれているのに、日本に行く機会ないのはいかがなものか…。
 そう思っていた県人会関係者に、このJICA日系研修募集は朗報だ。16日に来社した海外日系人協会(本部=神奈川県横浜市)業務部の佐藤なぎささんによれば、JICAが実施する日系研修制度(Bolsas de estudos do Programa de Treinamento para Comunidade Nikkei)では非日系の参加を認めるカテゴリーが出てきているという。
 「昨年も何人か非日系の方が研修に参加されていましたよ」とのこと。ただし、当然のことながら日系団体に所属し、積極的に活動していることが条件だ。
 海外日系人協会が日本側引き受け団体になっている項目だけで「食を通じた日系社会活性化」(日本食を中心とした調理技術習得、特産品開発、食を通じた地域おこし)、「日本文化活動コーディネーター育成」(日本文化・歴史の基礎知識習得、日本文化活動事業の企画実施方法の習得)、「日系日本語学校の運営管理」(日本語学校運営に必要な現状分析や戦略立案、組織運営)、「和菓子を通じた日系社会活性化」(和菓子製造の基礎知識習得、日本文化としての和菓子理解)など興味深い研修がいろいろある。
 これらを含め、JICAブラジル事務所が窓口になって、実に109もの研修プログラムが開設されている。
 その中には「農業や農産品加工、流通、農村観光」「歯科」「日本的経営における人材育成」「モノづくり」「沖縄の戦略的観光」「高齢者支援」「高齢者介護」「インターネット」など、多分野にまたがったものがあり、詳しくは直接にJICAブラジル事務所に相談した方が良い。
 来年前半分(2020年4月から9月に実施)の研修制度への申し込みが現在、受付中だ。来年前半分への申し込みの締め切りは今月25日なので要注意。ブラジル事務所の住所(Alameda Santos , 700-15and, SaoPaulo, SP)、電話(11・3251・2655)、Eメール(jicabrsp-bolsa@jica.go.jp)まで。
 2020年後半分(10月から2021年3月実施)に関しては、来年1月30日に申し込み開始、3月31日までとなっている。
 「日本に研修に行ってから人が変わったみたいになった」という声をよく聞く。これを機会に、日系子孫はもちろん、非日系にも訪日研修を体験させてみては。(深)