【既報関連】8月30日から北東部の海岸に漂着し始めた原油が、22日にはバイア州南部の海岸にも到達したと同日付G1サイトが報じた。
原油漂着が最初に確認されたのはパライバ州コンデ市とピチンブ市で、10月3日にはバイア州にも到達。同州の海岸汚染は徐々に広がり、遂に南部にも及んだ。
22日未明に原油が漂着したカイルー市では、4海岸への原油漂着を確認。市役所は直ちに原油を回収し、観光名所でもあるモーロ・デ・サンパウロの第2、第3海岸の二つの海岸への立ち入りを無期限で禁止した。
22日現在で原油漂着が確認されたバイア州の海岸は49で、北東部全体で原油漂着が確認された海岸は、9州79市で200以上に達した。
海岸や海洋の汚染は生態系に大きな影響を及ぼし、漁業や観光業での損害も拡大の一途だ。
北東部各州は、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)や生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)、海軍、ペトロブラスなどの協力を得、原油の回収や海洋巡回などを行っている。
だが、原油漂着が長期化する中、非常事態を宣言する州も出、国の対策が不十分である事への不満の声も高まっている。
これを受け、大統領代行中のアミウトン・モウロン副大統領が21日、海岸清掃などに軍兵士4~5千人を派遣する事を決めた。また、アラゴアス州が清掃や監視、原油回収などに要した費用として先週要請した2200万レアル中、258万レアル分の支払いも認められた。
原油流出源はまだ分からず、米国などの協力も得た、海流に基づく特定作業が続いている。22日付エスタード紙は、外洋を航行し、原油を密輸している幽霊船から漏れたとの見方が強まっていると報じている。
原油密輸や幽霊船疑惑に関しては、ベネズエラのフアン・グアイド暫定大統領がブラジルに派遣した外交官のマリア・テレーザ・ベランドリア氏が21日にサンパウロ市で、証拠はないと前置きしつつ、「マドゥーロ大統領とその独裁政権が制裁措置を免れるために使った船舶から漏れた可能性がある」と述べ、衆目を集めた。同氏は、他国の海岸部では被害が出ておらず、ベネズエラ沖の海底油田から漏れたものではないとの見解も明らかにした。
なお、海岸に漂着した原油回収は、呼吸器や皮膚などに健康被害をもたらす可能性があり、ゴム手袋やゴム長靴、マスクなどを着用して行う必要がある。だが、汚染域が広いため、必要な資材が不足し、素手、素足で作業にあたるボランティアも多い。一部の州裁判所は、清掃用資材供給も含めた対策を24時間以内に講ずるよう、国とIbamaに命じたが、具体的な動きは出ていない。