ボルソナロ大統領は28日、自身のツイッターに物議を醸す動画を載せた。それは自身をシャングルのライオンに見立て、最高裁やマスコミ、野党、さらには自身が所属する社会自由党(PSL)までを敵扱いするという内容で、不評を受け、すぐに取り下げた。29日付フォーリャ紙が報じている。
問題のビデオは1分25秒ほどの短いもので、アフリカあたりのジャングルの野生動物を描いたものだ。まず、ライオンに「ボルソナロ大統領」の表示が出され、その周囲に現れるハイエナなどの動物の顔の近くには、それぞれ、団体の名前やロゴがはめ込まれた。
ライオン以外の動物に当てられた名前は、機関だと最高裁、ブラジル弁護士会(OAB)、ブラジル全国司教会議(CNBB)、マスコミだとエスタード紙やフォーリャ紙、グローボ局が登場する。いずれも、過去の見解や報道がボルソナロ大統領の気に入らず、対立しているところだ。
また、政党も、労働者党(PT)や社会主義自由党(PSOL)といった、長年にわたってボルソナロ氏を批判し続けている野党の左派政党のみならず、自身が所属するPSLなども含まれていた。ルシアノ・ビヴァール党首を筆頭とする党内派閥との対立は、このところ、ずっと報じられている。
動画ではボルソナロ・ライオンがこれらの動物たちに1匹で立ち向かっているが、そこに「保守派、愛国者」との紹介付のライオンが現れる。すると他の動物たちが逃げ出し、「私たちは最後まで大統領を支持する。彼を攻撃するな」とのメッセージとブラジル国旗が出てくる、というものだ。
このビデオは投稿されるや否や強い批判を浴び、最高裁のセウソ・デ・メロ判事も「大統領の野望はとどまるところを知らないようだ。専制君主の時代でもあるまいし」と、拒絶反応を示した。
このビデオはすぐに削除され、ボルソナロ大統領は29日、最高裁に対して「間違いだった」と謝罪した。
ボルソナロ氏はこのビデオの投稿と前後して、アルゼンチンやボリビアの大統領選で左派が勝利し、エクアドルやチリでは新自由主義経済に強い反発を示した長期の激しいデモが続いていることで、南米で孤立化しつつある自身の苛立ちを感じさせるツイートも行っていた。
ボルソナロ大統領は現在、アジア・中東を外遊中だが、28日にはサウジアラビアで同国のモハメド・ビン・サルマーン王子と会食を行い、物議を醸した。それは同王子がトルコのサウジアラビア領事館内で王室に批判的なジャーナリストが殺害された事件に深く関与していたことが疑われ、国際的な批判を浴びているためだ。