【既報関連】8月30日以降、原油の漂着が続くブラジル北東部では漂着域が拡大しており、バイア州南部のアブロリョス国立海洋公園にも近日中に到達する可能性が出てきたと29、30日付現地紙、サイトが報じた。
北東部への原油漂着は2カ月に及び、29日現在の汚染域は9州94市268カ所に達した。一旦はきれいになった海岸に再び原油が漂着する例も多く、北東部では25キロに及ぶ海岸線が原油で汚染されている。
また、29日は、バイア州南部のカナヴィエイラス、ベウモンテ、サンタクルース・カブラリアの3市でも小さな原油塊が見つかり、海軍が監視体制の強化を決定。巡視や原油回収のための船の数も増やす予定だ。
カナヴィエイラス市からエスピリトサント州サンマテウス市にかけた地域は、アボロリョス地域と呼ばれ、カナヴィエイラス市の沖にあるアボロリョス国立海洋公園は、南大西洋随一の豊かな生態系を誇っている。
29日の段階では、海洋公園内への原油漂着は確認されていないが、29日に原油が漂着した海岸から海洋公園までは直線距離で160キロしかなく、原油到達は必至と見られている。
同海洋公園は、4年前に起きたミナス州マリアナ市での鉱滓ダム決壊事故後も、鉱滓を含んだ汚泥が押し寄せるという事態に見舞われた。今回は、原油漂着がいつまで続くかも不明で、どの位の影響が出るかも予測出来ない状況にある。
29~31日にリオ市で開催中の2019年ブラジル・オフショア・テクノロジー・カンファレンスの開会式に出席したベント・アウブケルケ鉱山動力相は、北東部への原油漂着対策費は惜しまない事を約束。開会式に同席した国家原油庁のデッシオ・オドネ総裁も、同庁も流出源解明に協力していると話した。
だが、30日付G1サイトによれば、アラゴアス連邦大学の研究者達が衛星写真の映像を分析した結果、バイア州の沖に55キロ×6キロの原油の帯があるのが見つかったと発表したが、海軍はその海域では原油は見つかっていないと否定するなど、流出源は現在も特定出来ていない。
農務省は29日、行動半径が小さい海老類やカニ類は原油漂着による汚染の可能性が強いとし、11月1日以降の漁を禁止する措置をとった。禁漁地区や禁漁期間は魚介類の種類によって異なる。禁漁によって生計手段を失う漁師達には、繁殖期の禁漁時に支払われる保険金を11月から支払う事が決まった。
先に行われたバイア連邦大学の調査では50点の魚介類のサンプル全てから重金属が検出されており、原油漂着域内では既に魚介類の不買傾向が表面化。北東部では、漁に出るのを止めたり、魚を捨てたりする漁師や魚屋が続出している。