ボルソナロ大統領は10月21日からの日本、中国に続き、26~29日に中東3カ国を訪問、外交交渉を行った。これにより、サウジアラビアから巨額の投資を呼び込むなどの成果があった。10月28~30日付ブラジル国内紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領はまず10月26日、アラブ首長国連邦(UAE)に渡り、同国首脳や企業家などとの会談を行った。
企業家たちの前では、「わが国には提供できるものが豊富にあり、我々もあなたたちから多くのものを手にしたい」と語り、「ブラジルは現在、社会保障制度改革を行っている最中だ。インフレは国の歴史始まって以来の低さだし、失業率も下がりつつある」と経済の回復をアピールした。
大統領はまた、アブダビのムハンマド・ビン・ザーイド皇太子兼UAE軍副最高司令官、ドバイ首長国のムハンマド・ビン・ラーシド首相とも面会を果たした。UAEとの間では通商協力や、人工知能分野、環境、防衛などに関する協定を結んだ。
ドバイ、アブダビの両首脳は「アラブ首長国連邦は中東の貿易の入り口として重要」との主張を展開していた。
28日にはカタールに渡り、ドーハでタミーム・ビン・ハマド首長との会談を行った。大統領はここで、カタールに対し、ブラジルに渡航する際の短期ビザを免除することで調印を交わした。また、両国は航空サービスを充実させるための合意を取り結びたいとの意向も示した。カタールは2022年にサッカーのW杯を控えており、国際的な観光客が増えるからだ。
この会談後、両首脳はW杯の会場となるエデュケーション・スタジアムを訪問。同会場は今年のクラブW杯の会場でもあり、「ここでフラメンゴが試合をするのを見に来たい」と語ったボルソナロ大統領がハマド首長にフラメンゴのユニフォームを贈呈。W杯での協力も約束した。
大統領は28日にサウジアラビアに渡り、29日にムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼第一副首相兼国防相との会談を行った。同皇太子は王室に批判的だったジャーナリストの殺害命令を出したとされ、国際的なイメージが悪く、この会談は批判されていた。
同日は、同国のソブリンファンドからブラジルに100億ドル相当の投資を行うという大きな協定が結ばれ、ボルソナロ大統領とサルマン皇太子が合意書に調印した。大統領は同国でも、観光、商用ビザ免除の意向を表明している。
オニキス・ロレンゾーニ官房長官とエルネスト・アラウージョ外務相は会談後、同国からの投資の用途にはインフラ整備などが考えられるが、詳細は帰国後に開設する審議会で決められると発表。審議会には両国の政府関係者と民間企業の代表が参加する予定だ。
ボルソナロ大統領は10月30日も将来の投資についてフォーラムに出席。両国の商工会議所経営審議会にも参加後、帰国の途につき、31日の朝、帰着した。