ボルソナロ大統領は2日、マリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件の実行グループの一人、エウシオ・ケイロス容疑者が犯行数時間前に自宅を訪れた容疑に関し、「(コンドミニオの入り口詰め所の)音声記録を、操作・改ざんされないうちに入手していた」と発言。これが「証拠隠滅」だとして騒ぎを拡大させている。3日~5日付現地サイトが報じている。
ボルソナロ大統領は2日、ブラジリアでの移動中に詰めかけた報道陣に対し、リオの自宅「ヴィヴェンダス・ダ・バーラ」のインターフォンの録音記録に関して、「1年以上そのままになっていたから、誰かが改ざんするとよくないと思い、事前に入手していた」と語った。
マリエレ氏の殺害犯の逮捕は今年3月で、ボルソナロ氏と同じコンドミニオに住み、実行犯とされるロニー・レッサ容疑者と運転手役だったとされるエウシオ容疑者が警察から事情聴取を受けたのも今年1月のことだ。
大統領の発言が報じられた後、昨年の大統領選で決選投票を争ったフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)が「それは犯罪だ」とツイートするなど、国民からはボルソナロ氏の証拠隠滅を疑う声が上がり、デヴィッド・ミランダ下議(社会主義自由党・PSOL)が、「大統領罷免に向けて動きたい」と発言するなど、左派を中心に大統領に対する強い反発が起きた。ツイッター上では2日夜から3日の午前中にかけて、「ボルソナロを今すぐ罷免に」のハッシュタグが7万を超えるほどあがった。
騒ぎが大きくなった後、ボルソナロ氏は一転して「録音記録も、そのバックアップも取り去ってはいない」と撤回する発言を行った。
その一方で、ブラジル警察警部協会と市警警部全国連盟が3日、「ボルソナロ大統領がマリエレ事件に関する捜査で、リオ市警に脅しをかけている」と遺憾の意を発表した。大統領は、「録音記録の改ざん」を疑う発言に加えて、数日前にネットで出回っていた、「ボルソナロ大統領の疑惑を漏らし、大統領を陥れようとした」としてウイルソン・ヴィッツェル・リオ州知事を攻撃するビデオ流出に関しても疑惑を持たれている。
また、マリエレ事件に関するボルソナロ氏の疑惑報道の元となっているディレクターのアリ・カメル氏も声明を出し、「明らかに大統領に近い筋の人たちが、マリエレ報道に関することで接触してきて、『さもないと爆弾をしかける(グローボにとって致命的なことをする)ぞ』と脅してきた」と発表した。
また、カメル氏は、ボルソナロ氏の弁護士のフレデリック・ワセフ氏が、「コンドミニオの録音に対する嘘の情報を流している」として批判も行っている。
ボルソナロ大統領によるメディア批判が、これまでの大統領より激しいことは、マリエレ元市議殺害疑惑に関する報道と前後して行われたフォーリャ紙に対する攻撃や不買宣言にも現れている。