【既報関連】8月30日から続く北東部への原油漂着に関し、政府側の対応策や原因及び責任者解明への取り組みについて問うべく、下院が6日にリカルド・サレス環境相を招いた公聴会を開いたが、実態とは程遠い認識や的外れな配慮がされていた事などが明らかになったと6、7日付現地紙・サイトが報じた。
サレス氏に関しては、原油流出は国際的な環境団体グリンピースによるものと発言したり、アブロリョス諸島への原油漂着で海軍などが慌しく動く最中、サンパウロ州の海岸で休日を楽しんだりと、対応の遅さや判断の歪みに批判が集まっている。
公聴会は、アマゾン問題委員会や国家統合・地域開発委員会、労働・管理・公共サービス委員会が合同で行った。与野党議員から対応の遅れを指摘された環境相は、「政府の対応は原油漂着の情報を受け取ると共に始められた」が「実際以上に報じられ、風評被害も含む影響が観光業に及ぶのを避けるため、情報公開のあり方には最大限の配慮をした」と答えた。
他方、「政府は速やかに緊急対応用キットを配布したのに、ボランティアが無防備ないでたちで原油回収に当たっていると報道した」とメディアを批判。「観光に依存している地域だから、原油塊を取り除いたら海岸に入っても大丈夫だと観光客にアピールするよう努めてきた」ともいう。
また、政府の対応の遅れは、「現政権は財政的に破綻した状態で国の運営を任された」ため、動きたくても動けないとして、過去の政権に責任を転嫁。議員達が口論したりする姿を見て笑みを漏らし、反発なども招いた。
環境相は途中退席し、「準備が出来ていない」と批判されたが、同氏が公聴会半ばで退席するのは3度目だ。
なお、原油流出源に関しては、アラゴアス連邦大学などが衛星写真の解析を続けた結果、7月24日にリオ・グランデ・ド・ノルテ州沖に原油らしい帯が出来ていた事や、その傍に大小2隻の船が存在した事が確認された。これで、ギリシャのデルタ・タンカーズ社の船からの流出説は見直されそうだ。
原油漂着域はバイア州最南端のムクリ市まで広がり、エスピリトサント州でも漂着に備えた訓練や人員配備を始めた。アボロリョス国立海洋公園への入場停止措置は13日まで延長された。