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大卒者も就職難の時代=失業者や時短労働者倍に

 生産工学専攻で、2018年に大学を卒業したが、失業状態という28歳男性。だが、近年のブラジルではこれは決して珍しい例ではない。
 ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2014年の第2四半期と今年の第2四半期を比べた場合、大学を卒業したが失業中の人や、何年も失業状態が続いて就職を諦めた人、希望通りの時間数働けずに不満を感じている人は、92万9500人から247万3500人に増えた。
 内訳を見ると、大卒の失業者は51万2千人が123万5千人に、就職を諦めた人は2万1千人が20万8700人に、希望している時間数働けない人は39万6500人が103万1千人に増えている。
 このような傾向は、大学で学ぶ人が増えた事も原因だが、大学を卒業しても就職出来ない人達が大卒者増加率以上のペースで増えている事を示している。ここ5年間で見ると、就職を諦めた人は全ての年齢層で増えているが、大卒者で就職を諦めた人は、875%も増えたという。
 このような事情で、失業者や就職を諦めた人、希望時間数働けない人が大卒で就労可能な年齢層の人全体に占める割合は、5・2%から10%に倍増した。ただし、この数字は、正規雇用者と日正規雇用者の双方を含んでいる。
 これを正規雇用者に限定してみてみると、2013年から2018年に正規雇用者として採用された大卒者は170万人いるが、内31万8千人は、中卒または高校中退程度の学歴の人が就職する職種で採用されているという。言い換えれば、大卒者の5人に1人は、大卒という資格を生かせない職種に就職せざるを得なかった事になる。
 ただし、この分析は、中卒または高校中退レベルの人を採用する典型的な職種50に限定して行われたもので、大卒者がその資格を生かせない職種に就職した割合はもっと高い可能性がある。
 これらの職種には、飲食業界の補助サービス員や商品陳列係、レジ係、テレマーケティングのオペレーター、高齢者の介護人、診療所や歯医者の受付、バス運転手、ガソリンスタンド店員、掃除婦などが含まれる。
 様々な業種の販売員にも大卒者が多い。専門外だが仕事には満足している人もいる一方、もっと何か出来るはずと感じている人や、大きな町に出て仕事を見つけたいが、不景気だから就職口があるか否か、保障はないと躊躇する人もいる。
 大卒者が学歴を偽ってでも就職口を得ようとする傾向は、景気後退が言われ始めた頃から増えていたが、以前なら低学歴者の仕事とされていた職種に大卒者が就職するようになれば、はじき出されるのは低学歴で特定の職種に必要な技能も持たない人達だ。
 また、大卒者が本来の専門や知識を生かして働く事で上がるはずの生産性が低迷したり、学歴や技術を持っている有能な人材のストックが減ったりする事は、中長期的に見た経済成長にもマイナスとなる。(10日付フォーリャ紙より)