ボルソナロ大統領とパウロ・ゲデス経済相は、ブラジリアでのBRICS会議を契機に、中国との自由貿易交渉を行う意向を見せている。14日付現地紙が報じている。
この意向は、13日に行われた、BRICS会議に伴って開かれたBRICS開発銀行のセミナーに参加した際にゲデス経済相の発言で明らかになった。
「私たちは現在、中国と自由貿易の可能性(自由貿易圏構築)や、その通商エリアをどこまでにするかなどについて話し合いはじめたところだ」と同相は語った。また、「経済協力開発機構(OECD)への加盟のことなどについても話している」と語った。
ゲデス経済相はまた、ブラジルがアジアの他の地域により多くの製品を輸出することや、中国との貿易収支額を減らすことの許可も求めているという。今年1月から10月にかけて、ブラジルは中国に51億5千万レアル分を輸出し、中国から30億770万レアル分を輸入している。昨年の貿易収支はブラジル側が290億ドルの黒字(輸出超過)で、ブラジルの輸出の4分の1が中国向けだった。
ただし、南米共同市場(メルコスル)加盟国は現在、単独で他の国や地域との関税を撤廃し、自由貿易を行うことが禁止されている。メルコスルは現在、中国をはじめ、韓国、レバノン、シンガポールを含めたアジア・ブロックでの自由貿易を交渉している段階だ。そのため、ブラジルが中国と個別に自由貿易交渉を行うことが可能かどうかは微妙なところにある。
ただ、そこまでしてブラジル政府が中国への接近をはかっているのは、ひとつはボルソナロ大統領がそれまで行ってきた、中国に対して抱いていた偏見に基づく発言を取り消すことが考えられている。ボルソナロ氏は昨年の大統領選で当選した後、「中国はブラジルで買い物をしようとしているのではない。ブラジルを買収しようとしている」と発言していた。
だが就任後、大統領は中国との貿易の重要性を口にするようになり、10月のアジア外遊の際にも中国を訪れている。
また、ボルソナロ氏は、同氏が8月のアマゾン森林火災の問題で国際的な批判を受けた際、中国がブラジルのアマゾンの主権を擁護する声明を行ったことに感謝しているという。
一方、中国の習近平国家出席も、同国にとって最大の貿易相手国のひとつとしてのブラジルの重要性を強調している。現在、ブラジルは中国に農作物などの一次産品を、中国はブラジルに工業製品などの二次産品を輸出する重要な間柄となっている。
また、13日の両国首脳会談では、両国は犯罪者の引渡しや、食肉などの衛生管理などについても協力しあうことを定めた協約の調印も行った。