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ボリビア=暫定政権の人権問題深刻化=先住民弾圧に国際的非難=人種差別再燃に懸念

ボリビアでの反暫定政府デモの様子(Twitter)

 ボリビアのジェアニネ・アニェス暫定大統領政権による、エヴォ・モラレス氏支持派の人たちの抗議活動への弾圧が問題視され、国際的な人権問題にまで発展。暫定政権への批判が強まっている。15日付現地サイトが報じている。
 10日のエヴォ・モラレス氏の大統領辞任前後から、反エヴォ勢力は、エヴォ氏の親類や同氏を支持する知事の家を焼き討ちにしたり、エヴォ派の女性市長の髪を強制的に切って赤いペンキをかけて市中を引き回したりするなど、モラル面で問題視される行動を繰り返している。エヴォ氏自身も10日に自宅が襲撃されたため、命の危険を感じてメキシコに逃亡した。
 また、翌11日には、連邦政府前に集まった警察部隊が、エヴォ氏の出自であるラテン・アメリカ先住民の象徴的な旗で、ボリビアの第2国旗となっていた「ウィファラ」を制服から剥ぎ取り、はさみで切る行為に出て、問題視された。
 ボリビアでは人口の55%を占める多数派の先住民が人種差別を受けてきた歴史があり、それがエヴォ政権下で是正されて来た。ところが、反エヴォ派の間で台頭してきたキリスト教原理主義派の極右勢力により、人種差別が再び悪化してしまうのではないかと恐れられている。
 同国では12日、上院第2議長だったアニェス氏が暫定大統領となったが、その直後の15日、コチャバンバ県で象徴的な事件が起こった。この日、軍隊と先住民を中心としたデモ隊が衝突し、デモ参加者5人が殺害されたのだ。この日はボリビア全土で、合計9人のデモ参加者が殺害されている。
 このコチャバンバ県での殺害に関しては、安置所に遺体を引き取りに来た先住民の母親が泣き崩れる映像が国際的に流され、話題となった。
 ボリビアでのデモ参加による死者は17日現在で23人となり、国連人権高等弁務官のミチェル・バチェレ氏も強い懸念を表明している。
 アニェス暫定大統領は既に、デモ参加者の殺害や負傷に関しては、軍兵士や警察による責任を問わない姿勢も打ち出している。同暫定大統領は、2013年に先住民を「悪魔」と呼んで問題となった過去がある。
 他方、同国の下院はエヴォ氏の政党、社会主義運動(MAS)の勢力が強く、現在も、エヴォ氏の辞任が正式に議会承認されていない。
 アニェス暫定大統領は早急に大統領選挙を行う意向だが、18日の段階では議会内の合意は取れておらず、大統領令による選挙実施となる可能性も出ている。
 また、エヴォ派が暫定政権に対する抗議運動や幹線道路の封鎖を続けているため、燃料や食料の不足がますます深刻化するなど、同国の混乱はまだまだ続きそうだ。