ブラジルの通算4回目の優勝で幕を閉じたU17W杯。優勝に貢献した3選手、チーム得点王のカイオ・ジョルジ(サントスFC)、準決勝、決勝で決勝ゴールを決めたラザロ(フラメンゴ)、大会MVPガブリエル・ヴェロン(パルメイラス)の3人には、既に最低60億円の違約金が設定されていると、ブラジルメディアが報じている。
サントスFC下部組織所属のカイオは、サントスから遠く離れたペルナンブッコ州生まれだが、10歳からサントスで暮らし、技を磨いている。彼は昨シーズン、16歳にして既に1試合だけプロデビューを飾っているが、今年は主に育成チームだった。
だが、今年のコパ・アメリカのリーグ戦中断期間中にトップチームの練習に参加し、アルゼンチン人の名将ホルへ・サンパオリ監督に気に入られた。
カイオは今年1月に2022年末までの契約をサントスと結んでおり、違約金は5千万ユーロ(約60億円)に設定されている。
ヴィニシウス・ジュニオル(レアル)やルーカス・パケタ(ミラン)などを輩出しているフラメンゴの育成チームに所属するラザロは、8歳からフラメンゴの寮で生活している。フラメンゴの寮といえば、今年2月に発生し、10人の少年が命を落とした火災事故が思い出されるが、ラザロは丁度帰省していて、難を逃れた。「今後一生、火災で命を落とした仲間のためにプレーする」と語るラザロに対し、フラメンゴは2020年早々にサインできるよう、5年契約の文面を提示済み。契約書に記載された違約金は8千万ユーロ(約96億円)となっている。
元アルゼンチンの名選手、フアン・セバスティアン・ヴェロンの名前をとったパルメイラスのガブリエル・ヴェロンは、今年前半のサンパウロ州選手権に既に出場登録されていた。
大金を使い、元ブラジル代表クラスだが、“ちょっとだけ落ち目”のベテラン選手を欧州や中国から出戻りさせる補強がお得意のパルメイラスは、今年の無冠が濃厚で、「峠の過ぎた選手より、いっそヴェロンにチャンスを!」と、マスコミもファンも期待を高めている。
72億円の違約金が設定されている彼も、サンパウロから遠く離れたリオ・グランデ・ド・ノルテ州の田舎、アスー市出身だ。地元メディアは「彼は家庭環境から、すんでのところでカウボーイになるところだった」とも紹介している。
FIFAが定めた「18歳まで国外移籍禁止」のルールの影響は大きく、逆に「18歳からならよいはず」と考える欧州のクラブチームの多くは、17歳以下の選手が出場するU17W杯に多数のスカウトを送り込んでいた。
日本の西川(桐光学園)や若月(桐生第一)も注目を集めたが、彼らは「卒業後のJリーグ入りが内定」レベルで、とても「違約金50億円、100億円」などという物々しい数字は出てこない。
世界最高のブラジルブランドとして、これまでも多くの大型移籍を経験しているだけに、ブラジルリーグの各チームは、ビジネス面で日本より一歩も二歩も先を行っているといえそうだ。(19日付エスタード紙より)
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