【既報関連】ボルソナロ大統領が20日、「法定アマゾンでの森林伐採や焼畑(森林火災)は文化」と発言。森林伐採抑制資金を要請するため、リカルド・サレス環境相が国際環境会議出席の意向を表明すると、「アマゾンを売るような政策は認め難い」とも語ったと20、21日付現地紙、サイトが報じた。
国立宇宙研究所(Inpe)が18日、法定アマゾンでは2018年8月~2019年7月に前年同期比で29・5%増の9762平方キロの森林が失われたと発表した事で、環境相は20日、法定アマゾン内9州の知事との会議を開いた。環境相はここで、12月2~13日にマドリッドで開かれる気候変動枠組条約締約国会議(COP25)に出席し、森林伐採抑制のための資金を求める意向を表明した。
COPはブラジル開催のはずだったが、ボルソナロ政権がキャンセルし、チリ開催となった。だが、同国の混乱を受け、マドリッド開催となった。
サレス氏がCOPで森林伐採抑制のための資金を要請すると表明した事は、現政権の姿勢の変化と見られた。だが、ボルソナロ大統領は20日、「森林伐採や焼畑はブラジルの文化で、撲滅は困難」と発言。マリーナ・シウヴァ元環境相(2003~08年、当時は労働者党、現在はREDE)が「現政権はアマゾンを破壊している」と批判した事に対しても、彼女が環境相だった時の方が伐採量は多かったと批判した。
ブラジルで違法伐採者への恩赦などが行われてきたのは事実で、当時の伐採面積は広かった。だが、当時は地球温暖化への取り組みが進み、環境保護区制定など、違法伐採抑制の方向が出ていた。
今回発表された森林伐採の45%は違法伐採だし、保護区以外の公有地での森林伐採(全体の35%)の多くは恩赦も含めた土地正則化を狙う人達によるものだ。これを文化と呼ぶのは、違法伐採取締りなどを行う国立再生可能天然資源・環境院への資金を削り、州や非政府団体へのアマゾン基金拠出を止めた責任逃れとされかねない。
COPでの資金要請には、国や州での取り組みを明確にし、必要額をまとめる必要があるが、その作業はこれからだ。20日は、ラヴァ・ジャット作戦によって生まれたペトロブラスの基金から4億3千万レアルを土地正則化や伐採抑制策に回す事も話し合われた。
他方、森林伐採や焼畑増加で国際的な批判を浴びた際、ブラジルの尊厳を無視した諸外国による資源の買いあさりと批判した大統領は、21日も「アマゾンを売るような政策は認め難い」と語った。