20日、リオ市議で大統領次男のカルロス・ボルソナロ氏(休職中)が2018年3月のマリエレ・フランコ市議殺害事件に関与した疑いで捜査を受けているとの報道が飛び出した。また、最高裁の審理では、ジアス・トフォリ長官が大統領長男フラヴィオ氏の擁護に繋がる票を投じるなど、ボルソナロ大統領の息子たちをめぐる疑惑が国内の注目を集めた。20日付現地サイトなどが報じている。
19日にリオの連邦警察で、今年3月にマリエレ氏殺害容疑で逮捕されたエウシオ・ケイロス容疑者が、2018年3月14日の事件当日にジャイール・ボルソナロ氏(当時下議)のコンドミニオを訪れ、ボルソナロ氏宅に連絡を取った後にロニー・レッサ容疑者宅に向かったと証言していた門番が事情聴取を受けた。だが、ボルソナロ氏から入場許可が出たとの「記憶が定かでない」と発言したことが、20日午後、明らかになった。この門番は、市警でも10月7日と9日に2度事情聴取を受けていた。
だが、その報道が出た数時間後、ジャーナリストのケネディ・アレンカール氏が、「リオ市警が、カルロス氏もマリエレ事件に関与していたとの仮説を立てて捜査中」との情報を流し、それがその夜のネットの話題を独占した。
カルロス氏はマリエレ事件に関する捜査で大統領の名前が浮上との報道が流れた10月末から、様々な証拠を持ち出して疑惑否定を試みていた。だが、その都度、自身のアリバイが変わり、コンドミニオのインターフォン記録改ざん疑惑が持たれていた。また、同氏が生前のマリエレ氏と犬猿の仲だった事実も報道されはじめていた。
さらに、同氏のツイッター、フェイスブック、インターネットは12日から休止され、行方もつかめなくなっている。同氏はネット上でのボルソナロ氏の親衛隊長的存在として有名だった。
一方、最高裁では、トフォリ長官が7月に出した、中銀財務情報部(UIF、旧金融活動管理審議会・COAF)のデータを使った捜査の差し止め命令を今後どうするかの審理がはじまった。
COAFのデータを使用している捜査には、リオ州議時代のフラヴィオ氏元職員ファブリシオ・ケイロス氏の「ラシャジーニャ(幽霊職員などを使った議員付職員の給与の一部着服)」疑惑も含まれている。先週は、トフォリ長官が10月にUIFのデータ提出を命じた事実が明らかにされたが、この命令は世論の不評で取り下げられた。
アウグスト・アラス検察庁長官は、最高裁での審理に先立つ19日、COAFのデータを使った捜査の再開を求める意見書を提出した。
金融管理機関(国税庁や中銀、UIF)のデータと検察の捜査の関係についての最高裁審理は20日にはじまったが、トフォリ長官は「UIFのデータを捜査に使うにはあらかじめの司法判断が必要」との持論を展開して、フラヴィオ氏の件を捜査対象から外そうと試みていた。