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《ブラジル》北東部原油汚染=海洋生物の種類や数が激減=バイア州沖での調査で判明

白化したサンゴ(25日付コレイオ・サイトの記事の一部)

 【既報関連】8月30日から続くブラジル北東部への原油漂着により、バイア州沖の無脊椎動物の個体数が激減するなど、深刻な影響が出ている事が判明したと25、26日付現地紙、サイトが報じた。
 バイア連邦大学(UFBA)生物学研究所(Ibio)が、10月17~20日に州北部のフォルテ、イタシミリン、グアラジャバ、アバイーの4海岸で行った調査によると、平年は5~6%のサンゴの白化が、51・92%に増えた。
 サンゴの白化は病気に罹っている証拠で、放置すれば死や弱体化が生じる。通常は海水温や日射量の変化が白化の原因だが、今回はこれらの要因には変化はなく、原油が原因と見られている。
 また、サンゴやサンゴ礁を住処とするタコやロブスターなどの無脊椎動物の個体数は、これまでの平均の446から151に66%減少。サンゴ礁周辺で見つかった生物の種類も、88から47にと47%減少した。
 Ibioは1995年から該当海域のサンゴ礁の調査を続けており、過去のデータと照合すれば海洋生物の生態の変化を確認する事が出来る。
 調査では、有孔虫や単細胞微生物の数なども大幅に減っている事も確認された。これらの生物は他の海洋生物の餌となるため、これらの生物の減少はエコシステム全体に大きな影響を及ぼす。
 Ibioのフランシスコ・ケウモ氏は、「原油漂着後、海洋動物の数や種類が急激に減り、病気になったり死んだりしたサンゴも増えた事は、海洋資源損失を意味する。食物連鎖の崩れは、生物学的な不均衡も招く」と警告した。また、サンゴ礁が病気になったり死んだりする事で、9~2月に繁殖期を迎える生物の繁殖にも悪影響が生じる事も懸念している。
 ケウモ氏は、他の災害が重ならない場合でも、原油漂着で生じた損失の回復には10~20年かかると見ている。
 また、北東部で獲れた魚などを食用に供しても問題はないとの連邦政府の発表に関しても、魚介類が飲み込んだり、触れたりした原油は発がん性物質も含んでいる事を忘れないよう、注意を促した。ケウモ氏は原油にまみれて死んだウミガメなど50体の解剖を行い、消化器や呼吸器が真っ黒になっていた事を示す動画も作成している。