【既報関連】19日に上院で2回目の承認を受けた並行PEC(憲法補足案)は、11月12日に公布された、社会保障制度改革PECで達成された歳出削減規模を430億レアル小さくする(=歳出を増やす)可能性があると、29日付現地紙が報じた。
社会保障制度改革PEC成立のための議会折衝の中、議員の説得に苦労した地方公務員の年金制度改革などの部分は、本体部分の承認を迅速化するために切り離された。こうして切り離された部分を、本来の社会保障制度改革PECに近い状態に戻すために作られたのが並行PECだ。
並行PECは既に上院で承認されており、下院での承認(定数の60%以上の賛成2回)を待つのみだが、犯罪専門の鑑識官や市警備隊(Guarda Municipal)、国家情報部(Abin)職員、市警(州公務員扱い)などの年金を対象とした特別制度を制定する可能性が発生した。特定の職種に特別制度を設けることは、既に交付された社会保障改革PECの基本原則、「すべての労働者に平等な年金制度」に反する。
地方公務員関連では、地方レベルの行政官(州政府や市)だけで267もの組合や協会が存在する。並行PECが下院で審議される過程では、先に挙げた職種以外の職種の組合も、「自分たちに有利な年金条件を盛り込む」よう求めてくる可能性が懸念されている。
今年発足した公務員の権利擁護議員前線には下議235人、上議7人が所属している。下院定数は513人で、並行PECの承認には308票が必要だ。
並行PECは社会保障改革PECを補足し、歳出削減規模を拡大させることが目的だが、社会保障問題に詳しいエコノミスト、パウロ・タフネル氏のように、「並行PECは、先に成立した社会保障改革PECを悪くするだけ」と語る専門家もいる。
その他にも、並行PECには、「所得税税収による国家歳入の内、最低176億レを連邦直轄区(DF)政府(首都ブラジリアがあるが、地方自治体扱い)に支払う」という内容も含まれている。この176億レは、DF憲法基金が財源の治安職員の給与の支払いに当てられる。
源泉徴収された所得税は、連邦政府と州政府、市で分配することになっているが、DF選出議員団が、同税収分を「DF憲法基金にまわす」との条文を並行PECに盛り込んでしまったのだ。
上院付機関の独立税制監査院(IFI)のフェリペ・サウト部長は、「州や市に進んで新制度に参加しようと思わせるような仕組みを盛り込もうとする余り、“締めるべきポイント”が緩い並行PECとなってしまった」としている。
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