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国際学力調査=ブラジルは19年から進歩なし=15歳で小学生レベル?

 国際協力開発機構(OECD)が行う国際的な学習到達度調査(PISA)の結果が3日に発表され、ブラジルの生徒の成績は2009年以降、横ばい状態だと3日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
 PISAの調査対象は15歳児で、3年毎に読解力、数学、科学の3分野の学力を測定。学習環境などの諸要因と成績との関係を分析する。
 2018年のブラジルの生徒の成績は、読解力413、科学404、数学384となっており、79カ国・地域中の順位は、読解力58位、科学67位、数学71位だった。
 OECDはブラジルでは2003~18年に数学の点が向上と発表したが、成績向上は前半のみ。09年以降は全分野が横ばいと但し書きも付いた。
 ブラジルでは最低レベル以下の生徒も多く、3分野の全てが最低レベル以下の生徒が43%いた。
 特に問題なのは数学で、15歳ならこの位は理解していなければとされる最低レベルに到達した生徒は32%のみだった。OECD全体では76%がこのレベルを超えていた。科学では45%が最低レベルを超えたが、OECD全体の平均は78%。読解力では50%が最低レベルを超えたが、OECDの平均は77%だった。
 逆に、最高レベルに達した生徒は、読解力で2%、数学と科学は共に1%だった。OECDの平均は、読解力9%、数学11%、科学7%だ。
 ブラジルが生徒1人にかけた教育経費は2万ドル足らずで、トルコ、ウクラニア、セルビアなどと同レベルだったが、ブラジルの生徒の成績はこれらの国の生徒以下だった。OECD加盟国の中には各生徒に5万ドルを支出していた国もあった。
 生徒にかけた教育経費や経済力と成績は相関関係にあり、経済力別に4段階に分けた層毎の読解力の点数を見ると、ブラジルで最も裕福な層の生徒の平均は470点(同レベルの生徒の比較で77カ国中54位)、最も貧しい層の生徒の平均は373点(60位)だった。なお、ブラジルで最も裕福な生徒の点は、最も貧しい層の生徒の成績だけで見た上位10カ国中、最下位だった英国の471点さえ下回っている。
 分野毎の成績1位はいずれも中国(北京、上海など四つの市や省)で、読解力555点、数学591点、科学590点となっている。中国では最も貧しい生徒達の読解力の平均も519点で、経済層による差が小さい。