ブラジル経済研究所(Insper)所属教授のリカルド・パエス・デ・バロス氏が、ブラジル全26州と連邦直轄区を対象に行った調査によると、ブラジルでは今後数年の内に“教師余り”が発生する可能性があることが分かった。6日付現地紙が報じた。
調査によると、ブラジルでは2013年から17年末までの5年間に、およそ115万人の基礎教育(9年間の義務教育と3~4年間の中等教育)担当の教員を育成した。
この数は、現在国内で勤務している教師およそ223万人のほぼ半分に当たる。また、この223万人のほぼ8割にあたる175万人は公立校の教員だ。調査によると、18年から22年までの5年間で、さらに150万人が教員資格を得る。リカルド・パエス氏は現状を揶揄して、「我々は教師だらけの国だ」とレポートに記した。
ブラジル国内の全ての子供に最低でも義務教育を、さらには中等教育(15~18歳・日本の高等学校)を施す目的の下、教師を増やす動きは進められてきた。問題は、せっかく教師を増やしたのに、国民のライフスタイルや年齢別人口バランスの変化から、子供の数が減少していることだ。
例えば、サンパウロ州で基礎教育を受けている青少年の数は2018年現在で713万人だったが、2050年にはこの数が644万人に減ると見られている。
リカルド・パエス氏は、「ここ30年間、大学には『教師が足りない』『教師が必要』とのメッセージが伝えられ、大学側もそれに応えてきたが、『そろそろペースダウンを』と言い忘れた」と結んでいる。
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