ブラジル地理統計院(IBGE)は6日、11月の広範囲消費者物価指数(IPCA・政府公式のインフレ率)が0・51%だったと発表した。
昨年11月の値はマイナス0・21%とデフレが発生していた。17年、16年も11月は低インフレが続いており、今年11月の値は、2015年に1・01%を記録して以来の高い数値だった。
10月時点での「直近12カ月累積インフレ」は、2・54%だったが、11月には3・27%になっていた。しかしながら、これでもブラジル中銀が今年の目標としているインフレ率4・25%よりも低い。
中国での食肉需要の高まりを受けたブラジルの畜産農家が大量に食肉を中国に輸出し、国内の需給バランスが崩れたことで、11月の食肉価格は平均8・09%増だった。
大手銀行のイタウ・ウニバンク社は、今年のインフレは3・90%になるだろうと予測した。同社は3・9%の内0・6%分は動物性たんぱく質製品の値上げ分によるとしている。
IBGEの管轄である、国家物価指数システムのペドロ・キスラノフ氏は、「中国からの食肉、特に牛肉需要が高まったことが要因だが、牛肉に引っ張られて、豚肉や鶏肉の価格も上がっている。『食肉』の大幅値上げさえなければ、11月の『食品・飲料部門』はむしろマイナス0・18%のデフレだった」としている。
また、9日には中銀が毎週月曜に発表する、経済指標予測集フォーカスが発表された。
これは中銀独自の予想ではなく、中銀が、国内100以上の金融機関に、インフレ率、GDP、為替などの動向予想を質問し、それらをまとめたものだ。
それによると、今年(12月いっぱい締め)のインフレ予測は3・84%で、先週の予測より0・32%ポイント高くなった。11月までの直近12カ月間の累積インフレ率3・27%を0・57%ポイント上回ることになり、市場が12月もインフレが進むと見ていることを現している。
フォーカスは来年、再来年、3年後の数値も調査している。来年のインフレ予測は3・6%、再来年は3・75%、2022年は3・5%だった。中銀が定めたインフレ目標は、今年が4・25%、来年は4%、再来年は3・75%、2022年は3・5%だ。
10日から11日にかけて、ブラジルでは今年最後の通貨政策審議会(Copom)が開かれる。インフレと景気、為替の動向を総合的に判断し、中銀は経済基本金利(Selic)を決定する。
インフレの進展とレアル安を食い止めるためには、セオリーは金利を上げることだが、市場は二つのリスクを考慮しても、今は景気浮揚が重要であるとし、現状の5%から4・5%へと利下げが行われるだろうとの声が大勢だ。(6、9日付アジェンシア・ブラジルより)