サンパウロ日伯援護協会(与儀上原昭雄会長)は自閉症児療育施設(PIPA)本部ビルの定礎式を4日、サンパウロ市パルケ・ノボ・ムンド区の建設予定地で行った。
与儀会長、井上健治PIPA運営委員長、佐藤マリオ・リカルドPIPA施設長ら援協関係者、PIPAに資金援助を行うブラジル三井物産(株)の野々村幸治(ののむら・こうじ)法務部長、JICAブラジル事務所の間瀬将成所員らが出席。
与儀会長はブラジル三井物産やJICAの協力に謝意を示し、「PIPA本部ビル新設により、その取り組みが地域社会に広がることを期待する」とあいさつした。
現在PIPAは運営費の一部を、日伯友好病院などの収益でまかなっていることを受け、井上運営委員長は「自立した運営ができるかどうかが重要」と強調した。
井上運営委員長によれば、本部ビルは地上5階地下2階で、工期は1年半の予定。日本式の自閉症児医療を発信する殿堂となることが期待されている。PIPAは現在日伯友好病院近くにあり、本部ビル建設予定地もその付近にある。
PIPAは現在約40人の自閉症児を預かっており、日本の武蔵野東学園が実践する独自の教育法「生活療法」を取り入れている。
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4日に本部ビル定礎式が行われた、援協の自閉症児療育施設(PIPA)。援協関係者によれば、国内の自閉症児療育施設は少なく、実態は「預かっている子どもを投薬治療で安静にさせる」というもの。一方PIPAでは、日本の武蔵野東学園が実践する「生活療法」を取り入れ、自閉症児も健常者と同様の自立した生活を送れるよう訓練する。その療法にはブラジル政府も注目しており、援協ではPIPAから自閉症児療法のノウハウを広げていくことを目標にしている。援協を通してブラジルの医療水準が高まることを願うばかりだ。