ブラジル下院は11日、国内の水道事業に民間企業が参加することを認める法案の基本文書を賛成276票、反対124票で承認した。12日付現地各紙が報じている。
地域開発省のデータによると、ブラジルでは人口の83・6%、1億6910万人が清潔な水道水を使えているが、下水設備は人口の53・2%、1億550万人にしか普及していない。また、排出される下水の内、適切な処理がされているのは46・3%のみだ。
清潔な水をいきわたらせ、生活排水を適切な方法で処理することは、国民の健康状態改善のための必須条件だ。政府は清潔な水、適切な下水処理を国民に行き届かせるためには、6千~7千億レアルの投資が必要だと試算している。
議論の中心となったのは、諸市と州の公社が公開入札なしに結んだ契約(コントラット・デ・プログラマ)の扱いだ。
水道事業への民間企業参画を促進するためならば、公開入札のやり直しが筋だが、2022年3月までは契約期間を30年間延長できる。こうすれば、事業契約を締結している公社の市場価値は下落せず、将来的に民営化される際も売却金額が高まる。国内全5570市の内、水道事業が民営化されているのは6%に過ぎない。
同法案報告官のジェニーニョ・ズリアーニ下議(民主党・DEM)は、公開入札で参入した企業か、既存契約をプロテクトされた公社かの別を問わず、「2033年までに担当エリアの浄水普及率を99%、下水処理率を90%にする」ことを義務付けた。2022年3月までにこれを社の目標として定めない場合は、契約が取り消される可能性がある。