ブラジル中銀の通貨政策委員会(Copom)は11日、経済基本金利(Selic)を年5%から4・5%に切り下げる事を決めたと、12日付現地紙が報じている。
Selicは昨年3月に切り下げられて以来、今年の6月まで10会合連続で6・5%で保たれてきた。しかし、7月以降、9、10、12月と4会合連続で0・5%ポイント(P)ずつ切り下げられ、史上最低値を更新した。
中銀は前回のCopom後、「さらに0・5%の引き下げもありうる」と示唆していた。11月にはレアル安が進行した上、食肉価格高騰に伴って月間インフレ率が0・51%を記録したことで、Selicの5%据え置きの可能性がささやかれていたが、利下げは方針通り行われた。
政策金利からインフレ率を引いた実質金利は0・64%で、ブラジルは初めて、実質金利世界トップ10リストから姿を消した。実質金利世界一はメキシコ(3・23%)で、トルコ(2・85%)、インド(2・54%)と続く。
ボルソナロ大統領は、「経済活性化のために十分なほど低い水準。国のSelic連動型債務の支払いも1100億レアル減る」とツイートした。
中銀は利下げ発表会見で、「ブラジル経済は今年下半期以降、回復し始めたが、その勢いはまだ段階的」との声明を出した。
また、中銀は、「今の経済情勢を見るに、これ以上の利下げには慎重になるべきと考える」とも発表し、4会合連続で0・5%Pずつ行った利下げをいったんストップする可能性を示唆した。
16年半ばのSelicは14%を超えていたが、その後、12回連続で利下げされ、18年初頭に6%台に落ちた。そのときから指摘されていたことだが、Selicが下がったため、ブラジル人一般投資家たちのお気に入り、確定利付投信(RENDA FIXA)などで利益を出すことが一段と難しくなった。
ブラジル現地紙は、少なくとも32%のRENDA FIXAは、手数料とインフレを考慮すると、1年運用した場合、むしろ目減りすると報じた。
S&P「ポジティブ」評価に国債格付上がる兆しか?
格付会社S&Pは11日、ブラジルの外貨建て長期債の格付見通しを、それまでの「安定的」から、「ポジティブ」へと変更した。
現時点でのブラジル国債の格付自体はBBマイナスで、「投資に適格」のレベルより3段階低いが、「見通しポジティブ」は、「今後、格付があがる可能性がある」ことを意味する。
ブラジルの債務の対GDP比率は今後3年間は増大する見込みだが、社会保障制度改革が今年成立したことや、2020年も改革努力が続くことから、S&Pは財政改善に希望を持っている。