下本八郎元サンパウロ州議が主催する第4回日系政治運動シンポジウム(Movimento Politico Nikkei)が6日昼、サンパウロ市のブラジル日本文化福祉協会ビルで行われた。ゲスト講演者には、県連日本祭り実行委員長の谷口ジョゼ氏、宮坂国人財団の西尾ロベルト理事長が招待された。
冒頭挨拶で呼びかけ人の下本元州議は「前回選挙では、サンパウロ州で日系社会に縁が深かった3下議が落選し、まったく関係のない片桐キム下議らが当選した。州議もしかり。日系社会には日系政治家が必要であり、なにか新しい動きが必要だ。今回もそれをしっかり議論して」と主旨を説明した。
当日はグアラチンゲーター市のレジス・ヤスムラ副市長、サンパウロ市のロドリゴ・ハヤシ・ゴウラル市議、羽藤ジェオルジ同市議、他の市議補佐官らと日系メディア関係者ら、計約20人が参加した。
谷口氏は「やはり日系人の政治家の方が何かと頼みやすい。県連日本祭りでも政治家の助けは必要。日系社会としても、次の選挙では票を集中させるように何か手を打つべきでは」との意見をのべた。
一方、西尾氏は「少し違う視点から話したい。百周年の時にはゴウラルのお父さん(当時サンパウロ市議、本人は非日系で妻が日系人)にもとても助けられた。その他、いろいろな政治家、文化局長など。多くの政治家の世話になっておいて、選挙だからといって誰か一人だけに票を集めるのは難しい」との体験を語った。
さらに宮坂国人財団では運用益から毎年200万レアルを日系団体に支援しているが、「全伯に500団体以上あるから、あっという間に財源が無くなる」との現実もあるそう。さらに「私の子どもは3人とも政策重視、日系政治家には投票していない」とも語り、若い世代は「日系人の顔だから」という理由だけで投票しない。「日系らしい政策議論」を深める必要があるとの考えを示した。
それに対して政治家側からは、次のようなコメントが聞かれた。ヤスムラ副市長は「来年の地方選挙で勝つためには、今すでに運動していないと間に合わない。日系人は200万もいるのだから、その投票行動に関してもっと調査すべき。私は3時間かけて車でここに来ているが、サンパウロ市の政治家で出席していない人がいるのは残念」とのこと。
ゴウラル・サンパウロ市議は「我々は日系社会のことだけをやっている訳にはいかない。選挙だからと票を求めて有権者に近づくのは間違っている。普段からしている活動が評価され、結果的に票が集まるのだ」と語った。
下本氏は来年のシンポ実施日程として3月13日、6月5日を発表。「日系政治家は今からこの日を予約しておき、必ず出席して」と再度呼びかけた。