自国の高額不動産を買う外国人に永住ビザを与えることで国外から富裕層を呼び込む動きが、米国や欧州諸国で盛んだ。
ブラジルでも同様の政策を打ち出して国外からの富裕層を呼び込もうとしているが、なかなか制度が機能していない。
国によって制度に細かな違いがあるが、ブラジルの制度はポルトガルの“ゴールデンビザ”を参考に作られた。
しかし、開始から1年が過ぎ、途中経過を集計すると、ブラジルでは、関係者が思い描いたようには進んでいない。
昨年10月から今年にかけて、ブラジルが不動産を購入した外国人に居住ビザを与えた例は9件だけだ。2012年にこの制度を始めたポルトガルは、同年とその翌年だけで500人にビザを与えた。
ブラジルでは、北東部9州、北部7州では最低70万レアル、その他の州では最低100万レアルの不動産を購入すると、定住ビザを申請できる。
不動産は既に完成しているものでも良いし、建設計画中のものでも良い。また、住宅でも商業用でも良いが、「都市エリア」の不動産限定だ。
ブラジルでは都市エリアと農村エリアのように、土地の法的ステータスが区分されており、農村エリアの高額な大型別荘などを外国人が買っても、ビザを申請することはできない。
今年はレアルが下落したため、外国人にとってはブラジルの不動産は割安で、購入意欲も高まるはずだった。
不動産関係者は、ブラジルでこの制度がなかなか進まないのは、プロモーションに問題があるからとしている。
「ビザ取得とセットにした外国人向け高級物件の情報は、私のところですら入ってこない」と語るのは、サンパウロ州不動産仲介業者審議会会長のジョゼ・アウグスト・ビエイラ・ンネット氏だ。
同氏は、政府がこの政策をもっと盛んにしたのならば、プロモーション活動を見直すべきとしている。「高額不動産のエリアでブラジルが持っているポテンシャルは、非常に高い。景気回復が遅いとばかり文句言ってないで、高額不動産を買って永住ビザを手に入れましょうと富裕層の外国人にもっと呼びかけたらどうか」と語る。
最初の1年目は振るわなかったが、ブラジル国内の景気がもどり、魅力的な物件が市場に出てくれば、2年目以降、ビザを申請できる高額不動産の需要は増すだろうと政府は見ている。(15日付エスタード紙より)
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