ブラジルの高齢者法は、「60歳以上で収入が2最低賃金以下の人は、異なる市をつなぐ、または州をまたぐ長距離バス1台につき2人まで、無料で利用できる」と定めている。
その、1台につき2人までの枠に入るために、多くの高齢者がサンパウロ市北部のチエテ・バスターミナルで長時間列を作って並んでいると、19日付現地紙が報じた。
ライムンド・ナシメントさん(62)は、16日の夜7時からバスの券売コーナー前に並び、翌日朝6時にセアラー州行きのチケットを手にした。州都フォルタレーザに行きたかったが、もうないといわれたので、360キロ離れたイグアツ行きを確保した。
マリア・サントスさん、ローザ・クルスさん(共に69)も16日の夜11時から並び、セアラー州タウアー行きのチケットを入手した。サントスさんは、「自分たちの権利を行使しようとしているだけなのに、こんなに長く列に並ばなければならないなんて屈辱的よ」と語る。
こうした無料のバスチケットを手に入れるために、毛布まで持ち込み、底冷えのするバスターミナルで一夜を過ごす高齢者は多い。
ブラジル消費者保護協会(Idec)の都市移動調査員、ラファエル・カラブリア氏は、無料チケットは、直接、券売窓口に来ないと受け取れないという仕組みを改めるべきとしている。
バス会社Gontijoは、窓口に来て、年齢と収入を証明した人から順にという配布方法は変更できないとしている。