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《ブラジル》労働組合員が155万人減少=労働法改正の影響大きく=組合税の強制徴収も廃止

労働法改正が労働組合員減少につながった(参考画像・Camila Domingues/Palácio Piratini)

 前テメル政権期の2017年11月に改正労働法が成立してから、18年末までのほぼ1年間で、155万2千人の労働者が労働組合を離脱したと、19日付伯字各紙が報じている。
 18日に発表された数字は、地理統計院(IBGE)が行った全国家庭サンプル調査(Pnadコンチヌア、以下Pnad)で明らかになった。
 2017年に成立した改正労働法は、就業時間や休暇(フェリアス)、昼食休憩に関する規定などを変更した。
 また、フルタイム雇用以外にも、時短労働や実働分だけ給与を払えばよい契約形態も定められ、組合税の支払い義務もなくなった。
 IBGE所属アナリストのアドリアーナ・ベリンギ氏は、「2018年は組合税義務的徴収がなくなった初めての年。これは確かに、労働組合員の減少に影響した。労働組合員の減少は、正規雇用労働者たちの間でも多く見られた」と語る。 
 正規雇用者に限定した労働組合加入者の割合を見ると、2017年は19・1%だったのが、18年は16%に落ちた。実数では1年間で約110万人が抜けた計算だ。
 正規、非正規の区別なく、国内の全労働者を考慮に入れた場合、2018年に労働組合に入っていた労働者の数は1151万8千人だ。この数値は、2017年と比べて11・9%減っている。
 2018年のブラジル国内の総労働者数は9233万3千人で、労組加入率は12・5%だった。この値は、2012年に統計をとり始めて以来、最低だ。
  ベリンギ氏は、「正規雇用の減少、非正規雇用の増加、自営業の増加など、今の雇用市場を見れば、労働組合員が減っていくのは自明。17年と18年の境目は丁度、労働法改正のタイミングとも重なり、組合員減少が目立った」と語る。
 同氏はまた、Uberや99taxiのように携帯アプリで呼べるタクシーや、UberEats、Ifoodなどの食べ物を届けるドライバー業の普及も労働組合員の減少につながったとし、「以前ならタクシー運転手や配達人も組合があったが、携帯アプリで仕事を請け負う人々には組合がない」と語った。
 組合員の減少は2014年から18年まで5年連続で起こった。この間の累積減少数は309万8千人だ。
 雇用形態別に見ると、公務員は組合加入率が25・7%と高く、民間の非正規が4・5%、自営業者は7・6%と低かった。
 学歴別では高学歴になるほど加入率が高く、大卒者は20・3%だったのに対し、中卒以上高卒未満は8・1%だった。