ブラジル経済省が19日、11月の全就労・失業者台帳(Caged)を発表した。それによると、11月の正規雇用者は9万9232人の純増だった。20日付現地各紙が報じた。
これで8カ月連続の正規雇用純増となった。11月は年末商戦などに向けて雇用が増えやすい月だが、今年の伸び幅は、13万8247人増だった2010年以来の大きさだ。
経済データ調査会社ブルームバーグが行った調査では、市場関係者は11月は4万7250人の純増と予想していた。
また、今年1月から11月までの累積では純増94万8344人で、同じ期間で比べた場合は、154万6千人だった2013年以来の伸び幅だった。
ブラジルは14年半ばから2016年の終わりまで長期のリセッション(景気後退)に苦しんだ。そのため、15、16年の1~11月累積は純減だった。17年以降、若干、回復の兆しが見えてはいたが、17、18年の伸びは今年よりは小さかった。
投資銀行ABCブラジルのシニアエコノミスト、ダニエル・シャヴィエル氏は、11月の結果は市場の予想を上回ったとし、中期的に見た場合は、全ての経済指標が経済や雇用の回復を示しており、経済活動がより活性化することを推測させるとしている。
ジャイール・ボルソナロ大統領はこの結果を受け、インターネットのライブ中継で、「1月から11月までの累積で95万人分の正規雇用が増えた。12月も残っているし、絶対に年間累積で100万人突破だ」と語った。
しかし、12月は例年、正規雇用が減る傾向にある。経済省社会保障労働特別局長のロジェリオ・マリーニョ氏は、今年のトータルは63万5500人純増程度(昨年は52万9500人)になると見ている。
ボルソナロ大統領はライブ中継の中で、「この国にはまだ、1200万人もの失業者がいる。これは多すぎる」とも語った。
Cagedはサービス、商業、製造業、建設業、公共行政、鉱業、農業、公益事業の8部門に分けて、それぞれの正規雇用の状態を出す。
11月の好結果は、単独で10万6834人の純増を記録した商業部門によってもたらされた。次に多かった部門はサービス業(4万4287人純増)だ。
残る6分野の内、公益事業部門は419人と若干の純増を見たが、建設業、製造業、鉱業、農業、公共行政は全て純減だった。それらのマイナス分をカバーし、トータルで9万9千人以上純増になるほど、商業とサービスの伸び幅が大きかったということだ。
ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)調査員のダニエル・ドゥケ氏は、「商業とサービスが全体を引っ張る傾向は来年以降も続く。製造業などは、生産は増えているものの、雇用は減っている」とした。