ホーム | 特集 | 【2020年新年号】 | 【2020年新年号】「新しい時代の日本・ブラジル関係」=駐ブラジル日本国特命全権大使 山田 彰

【2020年新年号】「新しい時代の日本・ブラジル関係」=駐ブラジル日本国特命全権大使 山田 彰

山田大使

 新年明けましておめでとうございます。
 昨2019年を振り返ると、日本においては、5月に今上天皇陛下が皇位を継承して、即位され、新しい元号である令和の時代が始まりました。10月には、ブラジルのボルソナーロ大統領も出席し、即位の礼の式典が厳かに執り行われました。
 ブラジルにおいては、選挙を経てボルソナーロ政権と新しい議会が発足しました。新政権の下で、年金改革を成立させるなど、経済面を中心に改革の風が吹いている感じがします。
 日伯関係を振り返ると、ボルソナーロ大統領は、6月のG20サミット、10月の即位の礼の二度の機会に訪日し、安倍総理と会談しました。1月のダボス(スイス)における会談を含め、3度の首脳会談が実現しましたが、近年、1年間にこれほど両国首脳が会った例はなく、両首脳の個人的な相性も大変良いと承知しています。
 また、昨年は日本人アマゾン移住90周年に当たり、トメアスー、ベレン、マナウスなどで記念式典が開催され、移住者、日系人のブラジル社会発展への貢献を振り返る機会となりました。私は、ブラジル各地の日系社会を訪問し、特に若い世代の活躍を目の当たりにして、頼もしく感じたところです。
 さらに、ブラジルで開催された、サッカーのコパ・アメリカ、U17ワールドカップや柔道グランドスラムといった舞台で日本代表の活躍を見ることができました。
 2020年は、日伯外交関係125周年、在日ブラジル人コミュニティ30周年といった年に当たり、上記のような緊密な首脳間の交流を背景に、日ブラジル関係の強化に向けて機運は高まっています。
 ブラジルにおける改革の進展と経済回復とともに、日本企業の対ブラジル関心も高まってきており、日伯経済交流の進展に向けて、官民による努力を行っていきたいと考えています。
 2020年は、東京オリンピック、パラリンピックの年です。ブラジルにおいて、日本に対する関心がさらに高まるチャンスです。ブラジル選手の活躍を期待し、スポーツを通じた日伯交流を一層進めていきます。そして、科学技術、文化、学術、観光など幅広い分野で交流を深めるための諸策を実施していく所存です。
 日本とブラジル日系社会との連携強化も重要なテーマであり、日系社会の皆さんと一生に協働していきたいと思います。2月には、CONFRA(米州日系スポーツ大会)がサンパウロで開催され、米州各国の日系人アスリートがブラジルにやってきます。ブラジルの日系社会が、州を超え、国境を超えてネットワークを広げ、さらに発展するように努力を惜しまぬ所存です。
 日本とブラジルは、長年にわたる友好協力関係を有し、基本的価値と原則を共有する重要なパートナーです。両国は、「戦略的グローバル・パートナーシップ」の下、二国間のみならず、国際場裡でも幅広い分野で協力関係を発展させるように、積極的に取り組んでいきます。
 昨年12月、ジャパン・ハウスで行った講演の中で、私は『現在、日本とブラジルの関係は素晴らしく良好だが、両国関係の最良の時は、さらにこれからやってくる』と述べました。
 2020年が、両国にとってより良い年になるように、そして皆様にとって素晴らしい一年であることを祈念しております。