【既報関連】リセッション(景気後退期)終了後もブラジルの景気回復は思わしくなく、2018~19年の雇用純増は、2015~17年に失った正規雇用者数の半数にしか過ぎない事がわかった。
経済省の全就労・失業者台帳(Caged)によると、15~17年の正規雇用者総数は287万3千人減少した。
これに対し、18~19年(11月まで)の雇用純増は149万4千人で、15~17年の減少分の半分強だ。
しかも、景気後退が始まった2014年は、全体としては雇用が増えたものの、多くの部門では同年から雇用が減少し始めていたため、実質的な回復は半分またはそれ以下ともいえる。
端的な例は工業で、14~17年は正規雇用者総数が112万人減少した。これに対し、18~19年の純増は12万6700人分で、11・3%に過ぎない。
建設業界も同様で、14~17年の正規雇用者総数は99万1600人分減ったが、18~19年に回復出来たのは13万4400人分(13・5%)のみだ。
他方、商業は正規雇用者減少も15~16年の41万200人のみで、17年以降の雇用純増分(22万7800人)によって67・7%回復。サービス業も、15~16年に正規雇用者数が94万6700人分減ったが、17年以降、66万500人分の回復を見ている。
サンパウロ総合大学のジョゼ・パストーレ教授は、「11月に市場予想の倍近い10万人弱の雇用純増を見た事は、市場関係者にとって嬉しい誤算だったが、12月は例年、相当数が解雇されるため、年末時点での雇用回復は、15~17年に減少した数の半分にも満たないだろう」との見解を明らかにしている。
同教授の見解では、非正規の雇用者の増加やロボット化、携帯電話のアプリケーションを使って働く人の増加なども正規雇用者数の回復を遅らせるため、正規雇用者数が2014年のレベルに戻るには、あと3年程度はかかるという。(23日付エスタード紙より)
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