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餅つき祭りで紅白餅2万袋配布=お雑煮3千杯に長蛇の列

東洋会館で乾杯した皆さん

 「お雑煮が美味しかった。デカセギに行っていた頃のお正月を思い出したよ」―今年初めて餅つき祭りに来場したという目黒三男さん(80、二世)は、そう言いながら久々の日本の味に舌鼓をうった。

目黒三男さん

 大晦日恒例、リベルダーデ文化福祉協会(ACAL、池崎博文会長)主催の『第49回餅つき祭り』が12月31日午前、サンパウロ市のリベルダーデ日本広場で盛大に開催され、そんな光景があちこちで見られた。共催は文協、県連、援協、アリアンサ。
 お雑煮を食べていた中渡瀬アパレシーダさん(63、二世)にも感想を聞くと、「とても美味しいわ。初めて食べたのは日本。それ以来だから2回目ね」と懐かしそうに笑顔を浮かべた。
 紅白餅の入った2万袋は午前8時から無料配布が始まった。取材時の午前9時時点でも長蛇の列が続いており、正午前にようやく配布が終了した。配布ボランティアの大任を務めたリベルダーデラジオ体操会の鹿又信一会長(のぶかず、84、東京都)は「餅をもらいに列に並ぶ人の大半はブラジル人。彼らから『どうやって食べるんだ』と良く尋ねられるから、砂糖醤油で食べるのをお勧めしている」という。
 祭り開会式で、司会の高橋カルロスさんは「餅は団結を象徴している。もち米自体はバラバラだが、蒸してこねて搗くことで一体化する。何か困難に直面して、コミュニティが練られて団結する様子を表した祭りだ」と説明した。
 主催者を代表して池崎会長は来賓約40人と来場者、ボランティア約70人に感謝をのべ、「白餅は平和、赤餅は成功を意味する。皆さんにそんな餅を配って食べてもらい、良い新年になるように祈っている」と語った。

の輪ぐくりに近隣ブラジル人の行列ができた

 サンパウロ市を代表して、アンドレア・マタラーゾ元地区局長があいさつに立ち、「日本移民はサンパウロ建設の立役者。このような伝統文化を継承してくれるおかげで、市民生活が文化的になる。新年を迎えるにあたって、毎年、平和と成功を祈願するイベントを実施してくれていることに感謝する」と述べた。
 サンパウロ日伯援護協会の与儀昭雄会長も「来年、この祭りは節目の第50回。来年も皆さん元気に参加しましょう」と呼びかけた。当日は野口泰総領事、楠彰首席領事らも列席し、積極的に餅つきに参加していた。
 式典の後、正午前から来賓とボランティアを東洋会館に招いて、改めて新年を迎える式典が行われた。ちょうど日本では年越しの時間帯に当り、「一月一日」の歌などを皆で合唱し、鏡割りに続き、山下譲二文協副会長の音頭で乾杯が行われた。舞踊部の皆さんが準備したお雑煮や年越しそばが振る舞われた。
 今年は余興として大浦聡一郎さん(16、二世)、徳洋くん(あつひろ、11、二世)による「ふるさと」などのフルート演奏が披露され、なごやかに大晦日を過ごした。


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 餅つき祭りでフルートの演奏を披露した大浦兄弟に話を聞くと、兄の聡一郎さんは「7年前から練習している」というから本格的だ。キッカケは母親が昔フルートを吹いていて、日本からもってきていたこと。母親の智子さんにも聞くと「ブラジルはショーロとかクラシック音楽とか、フルートを吹く文化があるから、子どもに教えたかった」とのこと。練習を始めて3年目の徳洋くんは昨年、SBT局のテレビ番組にもフルートで出演したとか。将来の活躍が楽しみな兄弟といえそうだ。