ブラジルのメディアが7日、オーストラリア(豪州)での火災に伴う煙がブラジル南部にも到達したと告げた▼昨年8月の法定アマゾンの森林火災急増で国際社会からも批判を浴びたボルソナロ大統領やリカルド・サレス環境相は、豪州での火災は9月から続き、多数の動物や人も死んでいるのに批判の声が少ないと、国際メディアへの不満を漏らしている。これに対し、7日付のエスタード紙やG1サイトは、アマゾンの火災と豪州の火災は根本的に違うという記事を掲載。この辺りの事情も説明している▼豪州での火災は、サバナ(サバンナ)と呼ばれ、背の低い樹木が点在する乾性の草原でのものだ。サバナは乾季と雨季が明瞭で、高温、乾燥、強風などの要素が重なる乾季は自然火災が起き易い。当局者は雨季が来るまで鎮火は困難としているが、火災が起き易い気候で育つ樹木は幹が太く、火災後の回復も早い▼これに対し、アマゾンは熱帯雨林で高湿度。樹木も密生し、自然火災は起こり難い。つまり、アマゾンでの火災は人為的なものが圧倒的に多い上、樹木の幹が細く、乾燥や火災に弱い。アマゾンの森の回復には何十年または100年以上を要すというが、伐採や火災の増加と湿度低下で同地域の樹木はますます弱っている▼サンパウロ総合大学のカルロス・ノブレ氏によれば、アマゾンでは2ヘクタールの土地に欧州全体を上回る種類の動植物が生育している。また、樹木の密生度も高く、同面積の伐採や焼失による地球温暖化や生態系へのインパクトは他の植生より大きい。豪州での火災も家屋焼失などの被害や動物の死、温暖化をもたらすが、アマゾンでの火災はより人為的で、影響も大きい事を心に留めたい。(み)