【既報関連】ベネズエラで5日、ニコラス・マドゥーロ大統領支持派の警察や軍が国民議会への出入りを制限した上、少数派のマドゥーロ支持派が議長を電撃選出するという事件が起きたが、ブラジルなどの米州諸国からなるリマグループは6日、反体制派議員が別の場所で開いた議会で再選したフアン・グアイド氏を正式な議長として認める声明を発表したと6日付ブラジル国内サイトが報じた。
リマグループは、2018年に行われた同国大統領選で不正が行われたとし、マドゥーロ氏の再選は無効と判断。国民議会議長のグアイド氏が昨年1月、正式な資格を持つ大統領不在を理由に暫定大統領就任と大統領選のやり直しを宣言した折も、同氏を暫定大統領として承認している。
国民議会議長が暫定大統領となる事は同国憲法で認められているが、マドゥーロ派は5日、定足数さえ満たさずに議長選を行い、ルイス・パラ氏を議長に選出した。
議会多数派の反体制派議員は同日、別の場所で議会を開き、グアイド氏を再選。出席者は100人で、定足数も再選に必要な票数(84票)も満たしており、リマグループも同氏を正式な議長と認めた。この事は、同グループがグアイド氏を暫定大統領と認めた事も意味する。
だが、国際社会がグアイド氏を国民議会議長と認めた事は、マドゥーロ派の動きを止める事には繋がっていない。
その事は、グアイド氏が7日朝、議会に到着した際、警官や兵士に入場を阻まれた事などからも明らかだ。同氏は約1時間後に支持者と共に議場に入り、国歌斉唱後、議事を執り行い始めたが、その直後に電力が切られた。電力はまもなく回復したが、兵士達は議事終了後も、議会を去るグアイド氏や支持者に向けてガス弾を投げつけた。
同国の政情は依然として不安定だ。リマグループも声明で、政治、経済、治安、人道、環境などへの懸念を表明。公正で透明な大統領選の早期実施の必要性も説いた。
政情不安や経済困窮などで同国を離れる難民も後を絶たず、ブラジルでは、連邦政府の政策で2万5300人に及ぶ難民が他州に送り出された後も、ロライマ州の難民収容所では6200人が生活している。また、同州内の空きビルに住みついた同国難民も3100人に達している。
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