2019年にサンパウロ州が国を大きく上回る経済成長を記録したことを、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)が2022年の大統領選につなげたいとしていると、9日付フォーリャ紙が報じている。
サンパウロ州財務局によると、同州は2019年に2・6%の経済成長を遂げたという。同年におけるブラジル全土での経済成長は約1%とみられており、全国平均をかなり上回っていることになる。
サンパウロ州は全国一の人口を誇り、国内総生産(GDP)の3分の1を占める州だ。
州経済が2・6%成長したことによって、州政府は州内645市への商品流通サービス税(ICMS)の再分配を8%増しで行うことができた。
また、サンパウロ州は全国一となる29万1千人の雇用純増にも成功している。ブラジルの失業率は下がり始めているが、それでも、全国で約1200万人の失業者を抱えている。失業率は経済問題の中で最も神経質になる部分で、景気を示す指標の中では最後に変化が表れる。
サンパウロ州では8日も、過去最大となる1200キロの州道の運営権に関する入札を行い、11億レアルの落札金を手にしている。
サンパウロ州政府は、前財相のエンリケ・メイレレス財務局長をはじめ、テメル政権で大臣をつとめた人物がずらりと並んでいることでも知られている。
だが、サンパウロ州でこれだけの経済的な実績をあげながらも、現状では、国民からの支持はそれほど高くない。
ダッタフォーリャが12月に行った「2022年の大統領選に出馬する可能性のある人物の信頼度調査」は、各人物への信頼度を高、中、低で評価してもらったが、ドリア氏への信頼度を「高」と評価した人は7%で、「低」と評価した人は69%いた。
信頼度が「高」と評価した人の割合が最も高かったのはセルジオ・モロ法相の33%で、ルーラ元大統領の30%がそれに続く。
ドリア氏が同選挙でライバル視しているボルソナロ大統領は22%、ドリア氏と中道票をめぐって争うことが予想されるルシアノ・フッキ氏は21%だから、現状では大きく水を開けられているといえる。
PSDBの政策担当者らは「この世論の印象はまだ逆転可能」と見ているが、懸念されるのは、同氏につきまとう「自己完結(自給自足)型」のイメージで、「エリート主義」「傲慢」と評価されかねないという。
ドリア氏は以前から実績をアピールするための柱として「治安」と「貧困者対策」を考えていたが、「経済成長」が加われば、22年の大統領選に向けた同氏のアピール材料が3本に増えることになる。