「早い・安い・おいしい!」――スマートフォンのアプリケーションソフトを利用した、温かい料理が手頃な価格で自宅に届く食品宅配サービスが流行している。雨天や寒い日、高齢者や体に不自由がある人が、好きなものを食べたくても出掛けるのが難しいこともある。そんな時に利用したくなるのがこのアプリだ。ここでは食品宅配サービスの仕組みや、記者が身をもって知った利点や使い方、問題点などを紹介する。(岡本大和記者)
近頃、大きく色鮮やかな直方体のリュックサックを背負い、パチネッテ(Patinete/電動キックスケーター)や自転車、オートバイで町を走る人の姿をよく目にする。彼らは皆、食品宅配サービスの配達員だ。
スマホのアプリ(Aplicativo/略称エッピApp)で食品を注文すると、彼らが配達してくれる。
食品の配送を頼むには、まず「Uber Eats」「iFood」「Rappi」などのアプリを、スマホにインストール(instalar)する必要がある。
次に、それぞれのアプリに届け先の自宅住所や支払方法、電話番号などを登録する。登録は大体5~10分で済む。登録完了後は、画面に表示される膨大な数の店と商品の中から、食べたいものを探して注文し、受け取るだけだ。アプリは日本語でも利用できる。
個人経営のバールやレストランからチェーン展開しているファストフード店まで、料理の種類も和食からブラジル料理、完全菜食主義者(ビーガン)向け、アイスクリーム、飲料まで幅広く対応。アプリによっては食材や日用品なども注文できる。
アプリの利用者による店の評価も見ることができ、高評価の店や価格帯を絞り込んで店を検索することも可能。ふるいにかけた中から希望に合う商品を見つけられる。
価格は「商品の本体価格」「サービス料」「配送料」の合計となる。配送料はUber Eatsの場合、届け先と店の距離に応じて変わり、近ければ無料の場合もある。
レストラン側からすると、売上げの10~30%がアプリ会社に天引きされ、残りの金額が後で振り込まれる形になる。そのため店によっては、店内で食べるより割高な価格設定をアプリ上でしていることが多い。
だが個人店の場合は、膨大な数の店から選べるため、外へ出掛けて同じような料理を食べるより安く済ませられる。近頃では客の来店対応はせず、食品宅配サービス限定の店まである。
スマホで商品を注文すると、アプリが自動的に近くにいる配達員と連携をとり、誰が配達に行くのかを決める。その配達員が店に行って商品を受け取り、届け先まで運ぶ。
誕生日会やパーティーで、大人数の料理を準備するのは大変――そんな時、食品宅配サービスを使えば、画面上で指先を動かすだけで、温かい料理が家に届く。
「台所に掛かりきりで、談笑の輪に入れない」ということもない。夜間でも外の治安や店までの移動の負担を気にせず済む。スマホをもっている人は一度、試してみては?(つづく)
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食を提供されるアプリ利用者の立場とは逆側、食を提供するレストラン側にも話を聞いてみた。「最近食品宅配サービスを導入した」という某日本食店経営者男性に尋ねると、「だいたいアプリ会社に天引きされる割合が大き過ぎる。だから売上げが伸びても、その分の労力ばかりがかさんで、アプリ上の販売価格を高くしても、労力の割には利益が上がらない感じ。食品宅配サービスを取り入れるなら、最初からそれに合わせた経営戦略を立てないと、しっかりと利益を上げるのは難しいのではないか」とのこと。つまり、レストラン側からすると、これまで来店対応だった店の場合、ただ食品宅配サービスを導入しただけでは、大きな利益にはつながらないようだ。