胃酸分泌抑制薬を主体とする胃潰瘍などの治療薬に、ガン発症を招きうる成分が許容量以上に含まれていた事がわかり、製薬会社2社がリコールをかけていると21日付ブラジル国内紙が報じた。
20日にリコールを宣言したのはMedley社で、対象となる薬はRanitidina(150ミリグラムと300ミリグラム)だ。
Ranitidinaは胃酸分泌を抑えるラニチジン塩酸塩を主成分とする薬で、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、ならびに消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、急性胃粘膜病変による上部消化管出血の治療に用いられる。
リコールの原因は、ニトロソアミンと呼ばれる化学物質の一種で、発ガンの恐れがあるN―ニトロソジメチルアミン(NDMA)が許容量以上に含まれている事が確認されたためだという。
同社の薬が手許にあるという消費者が、自分の持っている薬がリコールの対象となっているかを知りたい場合は、同社の消費者センター(電話0800・729・8000、月曜から金曜の8時から20時まで)で確認出来る。手持ちの薬がリコールの対象だった場合は、無料交換か、代金返金を要求できる。
昨年12月にはAche社も、ラニチジン塩酸塩を主成分とする薬Label(錠剤とシロップ)のリコールを宣言している。この薬は既に販売が中止されている。
国家衛生監督庁(Anvisa)によると、NDMAが許容量以上に含まれている可能性のある薬の製造ロット番号は、これまでに確認されたものだけで225に及ぶという。Medley社のRanitidinaでリコールの対象となっている製造ロット番号は50あるという。
Anvisaは昨年、ブラジル国内でラニチジン塩酸塩を主成分とする薬を販売している製薬会社24社に、同種の薬の安全性を確認するよう通達していた。NDMAが混入した可能性がある225の製造ロット番号はAnvisaのサイトに掲載されており、今後も追加される可能性がある。
Anvisaは昨年5月も、NDMAのように発ガン性が疑われるニトロソアミンが高血圧治療薬に混入した可能性を指摘し、製造会社に警告。昨年中に同薬の製造中止と回収を命じている。