ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ゲデス経済相 「環境の最大の敵は貧困」発言 ダボス会議でボルソナロ代弁 トランプも同問題で物議 WTOの協定参加にも言及

《ブラジル》ゲデス経済相 「環境の最大の敵は貧困」発言 ダボス会議でボルソナロ代弁 トランプも同問題で物議 WTOの協定参加にも言及

ゲデス経済相(Valter Campanato/Agencia Brasil)

 21日から24日、スイスのダボスで、「持続可能な世界」を統一テーマとする世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催されている。ボルソナロ大統領の代わりに同会議に出席したパウロ・ゲデス経済相は21日、「環境の最大の敵は貧困だ。食べていく必要があるから人々は環境を破壊するのだ」など、ボルソナロ大統領がかねてから主張する森林伐採擁護の持論を支持する発言を行った。21日付現地サイトが報じている。 

 今回のダボス会議は、ボルソナロ大統領が早々と不参加を表明して、話題となっていた。理由は「治安への恐れ」であったが、その治安が何を意味するのかは明らかにしていない。

 今回は大統領の代わりにゲデス経済相が参加しており、21日に持たれた工業の将来に関するパネルディスカッションの最中に、「工業と環境の間にある問題は何か」と問われ、「環境の最大の敵は貧困だ」と答えた。

 ゲデス経済相は「人々が環境を破壊するのは、食べていく必要があるからだ。彼らが心配していることは、森林を破壊してしまった人たちや、少数派の部族を淘汰してしまった人たちが心配していることとは違う」と発言し、先進諸国がブラジルに対して行う批判に釘を刺した。

 同相はさらに、「より多くの食糧を生産するには農薬も必要で、農薬認可は政治的な解決策だ。この問題は極めて複雑で、簡単ではない」との発言も行った。

 こうした発言は、食糧などを確保するためのアマゾン開発(とそのための森林伐採)を擁護し、国際的な批判も受けたボルソナロ大統領の持論を支持したものだ。

 ボルソナロ大統領は7月に、ブラジルの環境法は「病的だ」と語り、11月には「森林伐採は文化的なものだから、自分には止められない」と語っている。

 今回のダボス会議では、米国のトランプ大統領も、会議の主催者に対して「環境問題に関する警鐘は拒否してほしい」と語り、国際的に強い反発を買っている。

 また、国際経済に関してゲデス経済相は、ブラジル政府が世界貿易機構(WTO)が定める「政府調達協定(GPA)」に参加する意向であることを明かした。

 同協定への参加はWTO参加国の義務ではなく、個別に締結することになるが、協定に参加すると、政府の行う物品やサービスの購買(調達)に対し、外国企業が参加しやすくなる。ゲデス氏によると、政府の行う入札事業などで、国内外の企業を同等に扱うことが可能となるため、国際的な投資を受ける機会が増えるという。

 さらに、「この協定に参加することによって入札事業での透明性も増すから、汚職撲滅を目指すボルソナロ政権にとってもいい話だ」とゲデス氏は語っている。