失業率の低下は朗報だが、同時に実質所得も下がっていることが判明した。背に腹は変えられず、低賃金労働に甘んじてどうにか生計を立てている国民の姿が、次の調査からは伺える。
地理統計院(IBGE)が1月31日、全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、19年10~12月の平均失業率は11%で、第4四半期としては15年の8・9%に次ぐ低率だったと発表したと1日付現地紙が報じた。
19年第1~第3四半期の平均失業率は12・7%、12%、11・8%で、第4四半期の数字は第3四半期の11・8%や前年同期の11・6%よりも小さい。
第4四半期に職を探していた人は1160万人で、第3四半期より7・1%(約88万3千人)減少した。昨年の年間平均失業率は11・9%で、平均失業者数は1260万人だから、失業率は前年比で0・4%ポイント縮小し、失業者数も1・7%減少した。ただ、年間平均失業率は6・8%だった14年の倍近く、失業者数も680万人が1260万人に、87・7%増えている。
だが、16年まで続いていたリセッション(景気後退)後の景気回復が徐々にだが進んでいる事は明らかだ。
景気回復が進んでいる事は、第4四半期の正規雇用者が前期比1・8%増の3370万人だった事からも窺われる。正規雇用者数自体は、14年に記録した2670万人に及ばないが、前期比での伸び率は、12年の統計開始以来最大だ。
非正規雇用者を含む第4四半期の労働者数は9460万人で、前年同期比で1・96%増えた。内、自営業者は2460万人で、前年同期比3・3%増だった。
ただ、失業率が改善傾向にある事は、労働者の実質所得が向上している事を意味しない。
3日付エスタード紙によると、19年第3四半期に法定最低賃金以下の所得しかなかった人は2730万人で、景気後退が始まった14年第3四半期と比べると、180万人増えている。
実質所得低下は、非正規雇用者の増加が主要因だ。18年第4四半期の非正規雇用者は3750万だったが、昨年同期は3840万人に増えた。
また、新しい仕事が見つからず、賃金低下に甘んじて再就職した人が多い事も原因だ。昨年第3四半期の場合、非正規雇用者では2090万人が最低賃金以下の所得だったが、正規雇用者で最低賃金以下だった人は620万人だった。