2014年以降、ブラジル証券取引所(B3・サンパウロ市)は毎年末、ブラジル株式市場におけるブラジル人投資家の参加比率と、外国人投資家の参加比率を算出している。
14年から18年までは常に、外国人投資家の参加比率が50%を超えていたが、19年は初めてブラジル人投資家の参加比率が51・9%となり、過半数を占めるようになったと、4日付現地紙が報じた。
経済基本金利(Selic)が史上最低水準の4・5%に落ちたことで、国内投資家たちが、国債などの確定利付投信(レンダフィクサ・RF)から、より大きな利益が見込める株式にポートフォリオを移したと現地紙は分析。今年もこの傾向は続くだろうとしている。
一方、外国人投資家はブラジル人投資家と逆だ。昨年は、米中貿易戦争の激化や、アルゼンチン、チリ、ボリビアなどの南米諸国の政変などで、ブラジル市場からも400億レアル分が逃げた。
「外国人投資家がブラジル株を売却し、その益でドルやユーロを買い、ブラジルから資本を引き上げた。ただし、外国人に売られた分を上回るほど、ブラジル人が株を買っている」とすれば、昨年の株高(32・6%高)、レアル安(4・2%安)は説明がつく。
「社会保障制度改革が成立すれば、外国人投資家はブラジル株を買い増す」との予想は、当てが外れた。今年も1月29日までの段階で、外国人投資家はブラジル株を160億レアル分売っている。
投資顧問会社テンデンシアス所属のエコノミスト、カンポス・ネット氏は、「外国人投資家はまだ、新規公開(IPO)などでは有力な買い手」としているが、「ブラジル株の主な買い手はブラジル人」の図式は簡単には変わりそうにない。
4~5日は今年最初の通貨政策委員会(Copom)が行われており、市場では4・50%から4・25%への利下げ予想も出ている。経済基本金利(Selic)の引き下げは、個人投資家、投資ファンドの区別なく、ブラジル人による株購入を後押しする要因だ。
XPインヴェスチメントスの分析員ベチーナ・ロッショ氏は、現在の投資ファンドの参加率は9・2%で、2007年全盛期の14%には及んでいないが、投資ファンドがその水準まで買い進められれば、株価はまだ上がると見ている。
ブラジル金融本市場協会(Anbima)によると、昨年は株式を中心に投資するファンドに860億レアルが集まった。この額は一昨年の3倍だ。一方、RF中心のファンドに集まった資金は、18年から19年にかけてほぼ700億レアル減少した。
カンポス・ネット氏は「高利が続いた10年間はRFで簡単に稼げたたが、その時期は終わった。ブラジル人投資家たちは、ある程度リスクを負うつもりでないと資産を守れないことに気づいた」とも分析している。