ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》州知事たちが大統領に反発=「州税を勝手にいじるな」と連名書簡

《ブラジル》州知事たちが大統領に反発=「州税を勝手にいじるな」と連名書簡

 ブラジル国内全26州の内、23州と、さらに連邦直轄区(行政区分上州扱い)の知事、合計24人が、3日に、ボルソナロ大統領が狙っている、ガソリンやディーゼル油にかかる商品流通サービス税(ICMS)の徴収方法の変更(事実上の減税)への反対姿勢を改めて示した。

 ICMSは州税で、州財政の貴重な財源だ。

 ブラジルでは、原油の国際相場に基づいて価格が変動するガソリンなどの燃料費が上がりすぎると、国内輸送業者が反発し、値上げ反対のデモで政府に圧力をかけるので、政権としては常に国内燃料価格の動向に気を配らなくてはいけない。

 ボルソナロ大統領は、燃料費の一部を占めるICMSを下げることで、原油価格が上昇しても、最終的な燃料価格が上がらないようにする思惑だったが、ICMSを主要な財源としている国内各州の反応は「ノー」だった。

 連名書簡で州知事たちは、「ICMSは貴重な州の財源で、治安、医療、教育などを支えている」とし、ICMSの徴収方法を変更しうるいかなる動きも、大統領の鶴の一声で決まるのではなく、しかるべき議論の場を設けるべきとしている。

 知事たちは、国税でなく、州税に関することに大統領が土足で踏み込んでくることへの不快感を隠さなかった。ICMSを下げさせようとする大統領の思惑は、燃料価格高騰の原因をICMSに押し付け、「それさえ下げれば解決」と安易な大衆迎合を狙ったものと、知事たちは受け止めている。

 連名書簡には「我々知事も、高騰した燃料価格を下げることには並々ならぬ関心を持っている。しかし、そのためには、しかるべき機関を設け、正確な実情調査に基づいた議論を行うべき」としている。

 この内容をマスコミに公表したのは、ボルソナロ大統領にとっては潜在的な次期大統領選ライバルのジョアン・ドリア、サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)だ。

 また、州知事たちの連名書簡には、「燃料の消費者価格の15%を占める国税に関する決定権を持つ連邦政府こそ、税金を直ぐに下げることができるし、またそうすべきだと我々は考える」との提案が書かれていた。(4日付エスタード紙より)