サンパウロ日伯援護協会(与儀上原昭雄(あけお)会長)は月例定例役員会を1月30日、サンパウロ市リベルダーデ区の援協本部ビルで行った。着任した2人の国際協力機構(JICA)ボランティアが出席し、援協創立60周年記念誌の完成が遅れていることなどが報告された。
与儀会長はあいさつで「ブラジルの経済は相変わらず厳しいが、援協の運営は堅実に好調を維持している。今年も気をゆるめることなく、皆で協力して取り組んでいきたい」と述べた。
着任したJICA隊員の一人、菊池香奈子さん(48)は高齢者介護が専門。援協本部に所属し、2~12月の間ほぼ毎週末行われている、州内奥地の日系移住地への巡回診療に同行する。診療の補助のほか、受診者に病気予防法などを指導する。2022年1月までの任期。
もう一人の中俣敏朗(なかまた・としろう)さん(65)さんは1~3月の短期派遣隊員で、サンパウロ州カンポス・ド・ジョルダン市にある援協傘下の高齢者養護施設「さくらホーム」と隣接する桜公園の整備を行う。枯山水の造設などを予定している。
桜公園は約14ヘクタールの敷地内に約500本の雪割桜が植えられ、鳥居や滝、橋、大仏も設置された日本庭園。現在、毎年7、8月の週末に開催される「さくら祭り」を除き、来園者がほとんどおらず、援協は1年を通して入園料が得られるように、日本庭園として整備を進め、町の観光名所にする狙いだ。
園田明憲第3副会長からは、援協創立60周年記念誌の完成が4月後半から5月後半に遅れることが報告された。
人事に関して3人の監査役のうち、平野茂さんが日本に帰国したことから、補欠監査役の山口正(ただし)さんが監査役に異動した。
今年は総会と評議員会を4月18日に行う予定。当初は25日としていたが、ブラジル日本文化福祉協会の総会と日程が重なったため変更した。総会は年に1度、評議員は4、10月の年2回開かれる。
日伯友好病院を除く12月度決算は約163万レアルの赤字を計上したが、同病院を含む全体では約404万レアルの黒字となった。
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援協では州内で巡回診療を行っている。全伯の日系団体で巡回診療を行っているのはサンパウロ市の援協、リオ・グランデ・ド・スル州都ポルト・アレグレの南日伯援護協会、パラー州都ベレンのアマゾニア日伯援護協会だけ。日系団体の巡回診療では、日本語対応もあり、高齢者の多い一世は助かる。だが3団体で全伯を網羅するには無理があり、そもそもブラジルの法律では州ごとに医師免許が定められ、州外での医療行為ができないとか。3州以外に住む日本人が、遠方へ出ることなく、日本語で安心して医療サービスを受けられる方法はないものか。