ブラジル福岡県人会(平山秀夫イナシオ会長)は第90回定期総会を3日、サンパウロ市の三重県人会館で催した。遠方からはアラサツーバ、クリチーバ、マリリア、ノーバ・エスペランサ支部からも代表が駆けつけ、約100人が出席した。役員改選が行われ、南アゴスチーニョ俊男会長以下20人が選ばれ、7月19日に予定する県人会創立90周年および県人移住110周年式典に向けて準備を加速させることを誓った。
1分間の黙祷の後、平山会長が、昨年11月5日から9日間、母県で行われた海外福岡県人世界大会には9カ国21県人会から約400人が参加し、うち55人がブラジル勢で、「心に残るおもてなしをうけた」と挨拶。今年の創立90周年では「諸先輩に感謝の意を表し、私たちの力と団結を示しましょう」と呼びかけた。
議長に古賀敏之さんを選出、19年度事業報告と会計報告(収入約15万7千レアル、支出約15万3千レアル)、監査役の意見書が発表され、拍手で承認された。
続いて20年度事業計画、予算案が発表され、拍手で承認された。収入は約20万レアル、支出は約25万レアル。うち支出には創立式典等の費用として雑費13万5千レアルが計上された。年会費も100レアルを維持することで承認された。
続いて、小川県知事からの高齢者敬老祝状と祝品の贈呈式が行われ、平山会長が代理で手渡した。出席して受け取ったのは島春雄(しま・はるお、88)、高数義(こう・かずよし88)、古賀君枝(こが・きみえ、88)、白石一資(かぞし、84)、松尾治(81)、大庭聖項(おおば・せいこう、80)、上田考司(うえだ・こうじ、80)、池田春江(いけだ・はるえ、80)、古賀敏之(こがとしゆき、80)、江藤キヌエ(80)、江口勇二(えぐち・ゆうじ、80)、丸林茂樹(80、まるばやし・しげき)の12氏だった。
続いて4月から訪日する県費留学生3人のうち2人、小林・ジュリアナ・ユミさん、江上・リサ・あゆみさんが自己紹介した。
最後に2020―21年理事会改選が行われ、次の20人が選ばれた。【会長】南アゴスチーニョ俊男、【副会長】池田ウィルソン・エドアルド、福永ミルトン、古賀敏之、丸林茂樹、梶本茂男、【書記理事】落合・小田・ハルエ・ルイザ、宮崎・尾崎・ヒロミ・ルシア、【会計理事】田中・ヤスオ・ルイス、高田孝治(こうじ)、【理事】辻沢カズエ、福島・トシユキ・エリオ、豊福・ノブコ・エミリア、満生(みついき)・ヒサシ・ジュリオ、古賀キミカ、大田・砥綿(とわた)・エリ・マリアナ、前田長美(おさみ)、浅野ユジ・レナン、仁田原(にたはら)・フミエ・テレジーニャ、橋本ヨシコ
南新会長は「7月は大変な月になる。県連日本祭りの翌週に創立90周年式典をやります。皆さまご協力をお願いします」と気合のこもった挨拶をした。式典時には知事や県議会議長の来伯も想定されており、ジャパン・ハウスで県特産品を紹介する福岡フェアーを開催する。
□関連コラム□大耳小耳
福岡県人会総会で紹介された今年の県費留学生の小林・ジュリアナ・ユミさん(24、三世)は「県人会から留学のチャンスをもらって本当に感謝している。ブラジルに戻ったら県人会に協力したい」。日本のビジネス文化、商法の知的財産権について勉強する。江上・リサ・あゆみさん(24、三世)はサンパウ・ファッション・ショーなどで裏方の仕事に従事しており、日本のファッションを勉強するために九州産業短期大学へ留学する。「とても緊張している。着物やアニメが好き。日本のファッションセンスを広めたい」と希望で胸いっぱいの様子だった。
◎
福岡県だけがやっている特別な制度に「子弟招聘プログラム」がある。11歳の子供を母県に約10日間招待して、福岡を好きになってもらおうという素晴らしい制度だ。人格形成する前に母県に関する具体的な好印象を、子供心にしっかりと刻んでもらうもの。13年前からはじまり、すでに60人ほどが参加した。人格が固まった大人になってからよりも、全てにおいて柔軟な子ども時代に体験してもらった方が、理屈抜きに深く記憶に残る。「県人」という意識、アイデンティティを形成するには、これに勝る制度はないのでは。ぜひ他の県でも始めてほしいもの。