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サンパウロ州政府=水害対策支出は予算の半分=ドリア政権でさらに減少=チエテ川の浄化規模も縮小

川の氾濫で水浸しとなった聖市(10日、Paulo Pinto/Fotos Publicas)

 10日の大雨でサンパウロ市内のチエテ川とピニェイロス川が氾濫したことが話題を呼んだが、サンパウロ州の水害対策費は年間予算を遥かに下回る額しか使われていなかったと、11、12日付現地紙、サイトが報じている。
 11日付G1サイトによると、サンパウロ州は2010年から19年に、延べ62億レアルに上る水害対策予算を計上していた。だが、実際に使われたのは36億レアルにしか過ぎず、25億レアル余りが投入されずに終った。
 これを計算すると、割り当てられていた予算のうち、実際に使われたのは58%に過ぎなかったことになる。
 これに対して、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)とサンパウロ州政府は、「水害対策費は、洪水対策だけでなく、浄水事業にも使われる」「予算は前政権が立てたもので、予算額すべてを実際に使える訳ではない」と反論している。
 同政府はさらに、11日付G1サイトが、「2019年のサンパウロ州の水害対策費は7億5990万レアルが計上されていたのに、3億130万レアルしか使っていない」と報じたことに対し、「サンパウロ水道公社(SABESP)が行った30億レアル以上の浄化工事のことが含まれていない」として反論している。
 他方、12日付エスタード紙は、ドリア政権初年の2019年に、サンパウロ市内を流れるチエテ川の浚渫(しゅんせつ)作業で取り除かれた土砂や汚泥は40万9千立方メートルだったと報じた。
 これは、2016~18年の3年間に除去した土砂や汚泥が年平均80万立方メートルだったのと比べ、半減している。だが、州政府は、チエテ川上流やピニェイロス川での浚渫作業に力を注いだためと説明している。
 同紙はさらに、市街化地域でのチエテ川保全のために19年にドリア政権が費やした金額は5850万レアルで、2018年にジェラウド・アウキミン(PSDB)~マルシオ・フランサ(ブラジル社会党・PSB)政権が使った9900万レアル(インフレ調整済みの金額)の6割弱だったとも報じている。
 昨年の市街化地域でのチエテ川保全費用は、2014~18年に投じた金額も下回っている。今年の予算は9020万レアルだが、1月は全然使われていなかった。
 ドリア政権は昨年8月に、15億レアルをかけて2022年までにピニェイロス川を浄化すると発表した。この計画は同政権の環境政策の目玉の一つとされている。
 また、ブルーノ・コーヴァス・サンパウロ市市長(PSDB)も、洪水対策として8億レアルを投資すると約束。現市政は昨年、予算の85%を使っており、予算を消化していないというのは偽報だとしている。