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ゲデス経済相=問題発言連発に懸念の声税制や行政の改革の妨げに

ゲデス経済相(Agencia Brasil)

 「家政婦がディズニーランドに行く時代は終り」など、パウロ・ゲデス経済相の相次ぐ失言が、低所得層を中心とした国民や連邦議会を不快にさせ、税制改革や行政改革の法案が議会通過させる上での支障になっている心配する声があがっていると、14日付現地紙が報じている。
 ゲデス経済相が12日に行った、「ドル高は良いことだ。家政婦がディズニーランドに行ったのは過去のことだ」との発言は、その日のツイッターで最も話題になった言葉になった。
 家政婦からの抗議も相次ぎ、非政府団体「合法家庭内労働者」のマリオ・アヴェリーノ会長は「近年、家政婦は余暇としてディズニーランドには行っていない。乳母としての労働で行っているのだ」と家政婦の実情を代弁し、抗議した。
 しかも、「公務員はインフレの50%以上の賃上げや手厚い福利の保護を受けた寄生虫」と発言した際はすぐに陳謝コメントを出したが、今回は「そのつもりはない」と開き直っている。
 ゲデス氏の舌禍は、昨年11月の「軍政令第5条が仮に今起きたところで何ということはない」という発言以降、「森林伐採は貧しい人たちのためにやらざるを得ないこと」など相次いでいる。
 同経済相は、産業界内に「ブラジル経済が回復に転じる」との楽観的な見方が広まっていることや、1月に行われたスイスのダボス会議で国際的に評価されたことで、その手腕は評価されている。だが、こうした失言の数々により、連邦政府関係者の間では「ボルソナロ氏の人気に響くのでは」と懸念する声すら出ているという。
 当のボルソナロ大統領は、経済相の諸々の失言に対する自分の意見を表明していない。
 連邦議会の中でも、ゲデス氏の発言が今後審議されることになる、税制・行政改革に支障をきたさないかが不安視されている。特に税制改革に関しては、来週にも上院で準備に取り掛かることになっている。
 市長選の年なので有権者にとって分かりやすい法案の通過が最優先される傾向があり、分かりづらい税制や行政の改革は後回しにされやすい。
 ゲデス氏に対しては、左派勢力のみならず、中道勢力のセントロン系の政党(進歩党や社会民主党など)の党首までもが「エリート主義」「経済格差の悪化を容認しているかのような言動」との懸念を抱いているとされている。