スポーツカー、高級住宅、プライベートジェット、農場や大量の家畜など…。これらは、ブラジル法務省がブラジルの犯罪者やギャング組織から押収し、売却した財産の一例だ。
昨年は、犯罪者たちが汚職や薬物密売などで違法に集めた財産を現金化して得られた利益が、9100万レアル(およそ23億円)に上った。
犯罪者から押収した財産の管理を担当する部局によれば、今年は、こうした品々の売却や、押収した外貨の両替などで得る収益が、一気に2億レアル(およそ50億円)に達する見込みだ。
法務省は現在、15機のプライベートジェット、13カ所の農場、1万頭の家畜を管理している。これらは全て、昨年早々に行われた、薬物密売組織の摘発作戦で押収された。これらの財産は現在、裁判所からの売却許可待ちだ。
この他にも、別の摘発作戦で押収された、11台の高級車、2機のプライベートジェットも売却許可待ちとなっている。
「押収した財産を売却するのは、その利益を麻薬密売などの犯罪捜査に使うため」と関係者は語る。
法務省が押収、売却するのは、犯罪グループが薬物密売で違法に稼いだ財産だけではなく、資金洗浄や贈収賄などで手に入れた財産も対象とされる。
昨年は、連邦警察の犯罪捜査によって押収された財産が増えたため、セルジオ・モロ法務大臣は、こうした財産の売却益を、対薬物犯罪全国基金(Funad)や国立刑務所基金(FUNPEN)に優先的に回すように決めた。
2018年に押収された財産の価値は4億レアルで、2019年は6億レアルだ。
売却処分を加速化するため、昨年10月には、最終判決前に押収財産を売却できるように法改正もなされた。これは、司法当局が押収した財産の処分や売却を許可するまでに時間がかかり過ぎ、警察の敷地内に保管された高級車やプライベートジェットなどの資産価値がどんどん失われていくからだ。
管理費も馬鹿にならない。2018年の場合、押収した車や飛行機などを保管するための場所の家賃や維持費は、サンパウロ州だけで1700万レアルかかったという。(13日付フォーリャ紙より)